空気抵抗:終端速度の簡単な求め方から速度の式の導出まで!

難易度:★★☆☆
頻出度:★☆☆☆

今回は力学分野から、空気抵抗を考慮する問題を解説します。

空気抵抗を受ける物体の運動では、速度や加速度の変化をしっかりイメージすることが大切です。

本記事ではイメージはもちろん、そのイメージが正しいことを証明するために、微分積分を使って速度や加速度を表す数式も導きます。

微積と聞くと難しく感じるかもしれませんが、式変形のステップを1つ1つ詳しくコメントしていきますのでご安心ください。

また今回は、問題を解きながら重要事項を解説していくスタイルで行きます!

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問題に挑戦!

ということで早速問題を見てみましょう。

自由落下中に空気抵抗を受けるという最もシンプルな設定です。

が、見慣れない設問もあると思いますので、是非チャレンジしてみてください。

問題

質量 m [kg] の物体を十分に高い所から自由落下させる。
物体には速さ v [m/s] に比例する空気抵抗力 kv [N] が働くとし、次の問いに答えよ。
ただし重力加速度は g [m/s2] とする。

(1) 比例定数 k の単位は何か。
(2) 十分経過後の加速度、速度(終端速度)を求めよ。
(3) (発展) 落下中の物体の速度、加速度を時刻 t [s] の関数として表せ。

空気抵抗力は速さに比例する

物体が空気抵抗を受ける場合、一般に空気抵抗力は速さに比例します。

よって速さを v [m/s]、比例定数を k とすれば、空気抵抗力は kv とかけます。

このことは基本的に問題文で与えられますが、知識として知っておきましょう。

<メモ>
いつも速さだけに比例するとは限らないので問題文に従いましょう。
例えば「断面積にも比例する」などの設定もあります。

さて、この比例定数 k の単位は何か、というのが(1)ですね。

めずらしい問題ですが、当ブログでいつも強調している「単位同士も計算(約分)できる」ということを思い出してください。

k の単位を速さの単位 [m/s] にかけることで力の単位 [N] になれば良いので、次のように求めることができます。

[N] は運動方程式(ma = F)より、[kg] × [m/s2] に分解できることに注意しましょう。

空気抵抗の例題の解答1(次元解析)

<メモ>
このように、物理量の間の関係式などを単位の観点から考えることを「次元解析」といいます。
ここでの「次元」は「単位」の意味と捉えてください。
次元解析は求めた式が確からしいかの検算にも有効です。
簡単な例で言えば、「速度を求めよ。」と言われているのに、求めた式の単位が次元解析の結果「m」になっていたら、どこかでミスをしていると分かります。

空気抵抗を受ける場合の運動方程式

次に物体に働く力を(すべて)図示し、運動方程式を書いてみましょう。

本問では物体に働く力は重力と空気抵抗力だけですね。

空気抵抗力は「抵抗力」と言うくらいなので、物体の運動方向と逆向きに働くことに注意しましょう。

(当たり前ですが、下向きを正方向としています。)

空気抵抗の例題の解答2(終端速度を求める)

終端速度

では自由落下のスタートから十分経過後まで、物体に働く力、そして速度・加速度はどう変化していくか、確認しましょう。

この流れをイメージできるかがカギです。

(後ほど速度・加速度のグラフを示しますので、イメージの参考にしてください。)

物体を離す瞬間は速度 0 なので空気抵抗力も 0 であり、物体に働く力は重力のみです。

よって運動方程式より加速度は g となります。

その後、落下するにつれて速度は大きくなっていきます(加速度が正なので)。

それと同時に空気抵抗力も大きくなっていきますが、これらとは逆に加速度は小さくなっていきます。

ここで、加速度は小さくなっても正の値である(マイナスにはならない)ことに注意しましょう。

やがて十分に時間が経過すると、重力と空気抵抗力がつり合って加速度が 0 になります

加速度が 0 なので速度はこれ以上変化せず、一定となります。

この速度を終端速度終末速度と言います。

先ほどの図の下部で示したように、終端速度は運動方程式に加速度 a = 0 を代入することで簡単に求められます。

(終端速度は英語で terminal velocity と言いますので、図中では下付き文字に terminal を用いています。)

さて普通ならここで終わりですが、もっと理解を深めるために速度・加速度の式を導出し、グラフを描いてみます。

「数式までは必要ないかな」という方も、最後のグラフは是非見ておいてくださいね!

空気抵抗がある場合の速度・加速度の式の導出

ここからはダラダラ文章で説明してもしょうがないので、式変形とその説明を端的に図で示します。

(字が小さくてごめんなさい!拡大してご覧ください。)

大まかな流れとしては、上述の運動方程式を微分方程式とみて積分し速度の式を求め、速度の式を微分することで加速度の式を求めます

※速度・加速度の関係については次の記事をご参照ください。今回は加速度一定ではないので等加速度運動の公式は使えません!

空気抵抗を受ける物体の速度、加速度の式を求める(1)

ここから先は、数学で習う分数関数の積分、対数・指数の定義や性質などをふんだんに使って式変形していきます。

また物理ではいつも、積分定数は初期条件(t = 0 のときの条件)で消すことを覚えておきましょう。

空気抵抗を受ける物体の速度、加速度の式を求める(2)

速度の式を t で微分して加速度の式を出し、両者の t → ∞(十分経過後)の極限値を考えます。

速度の式からは終端速度加速度の式からは 0 が得られます。

空気抵抗を受ける物体の速度、加速度の式を求める(3)

最後のグラフの形はなんとなくで良いので記憶しておいていただきたいところです。

速度も加速度も十分時間経過後にそれぞれ収束します。

v-t グラフの接線の傾きが加速度なので、原点における傾きは初加速度 g、終端速度になると傾き(=加速度) 0 です。

※v-tグラフについては次の記事をご参照ください。とても便利なグラフで、使いこなせるようになると無敵ですよ!

まとめ

ここまでお疲れさまでした。

最後に空気抵抗のポイントのまとめです。

微積の式変形はさておき、空気抵抗については次の単語カードの知識を覚えておけばまず大丈夫でしょう。

空気抵抗の問題のポイント(1)

空気抵抗の問題のポイント(2)

自由落下以外の運動、例えば物体が斜面を滑り下りる場合などにも、空気抵抗があればこの知識が使えます。

空気抵抗力も含めて物体に働く力を漏れなく正確に調べ、運動方程式を立てることさえできれば、どんな問題にも対応できると思います。

次の記事たちも是非参考にしていただきたいと思います。

今回はここまでです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!