アルミニウムの融解塩電解は氷晶石の役割と反応式を覚えておこう

難易度:★★☆☆
頻出度:★★☆☆

今回はアルミニウムの工業的製法、いわゆる融解塩電解について解説します。

無機分野で学ぶ工業的製法にはそれぞれに特徴的なポイントがありますが、アルミニウムの融解塩電解のポイントはズバリ、氷晶石の役割です。

氷晶石とは何か、何故用いるのか、全体の流れの中で押さえておきましょう。

スポンサーリンク

アルミニウムの工業的製法は2ステップ

アルミニウムの工業的製法は原料のボーキサイトから最終目的のアルミニウムの単体を得るための一連のプロセスですが、大きく2つのステップに分けられます。

Step.1 は原料のボーキサイトから純粋なアルミナ(酸化アルミニウム)を得る、バイヤー法と呼ばれる工程で、Step.2 はホール・エルー法と呼ばれるアルミナの融解塩電解です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

(どちらの工程も無理して名前を覚える必要はありません。)

(融解塩電解という手法をとる理由については、この記事の最後の問題演習でご確認ください。)

<メモ>
2つの工程をまとめてアルミニウムの融解塩電解と言ってしまう場合もあります。
それは Step.2 の方が特に重要な操作だからです。

【Step.1】ボーキサイトから純粋なアルミナを得る

アルミニウムの原料はボーキサイト、これは有名なので覚えておきましょう。

ボーキサイトの半分以上はアルミナです。

他に不純物として酸化鉄(III)などが含まれています。

次の図をご覧ください。

アルミニウムの工業的製法 Step.1 ボーキサイトから純粋なアルミナを得る(バイヤー法)

ボーキサイトから純粋なアルミナを得るにはまず、ボーキサイトを高濃度の水酸化ナトリウム水溶液に加熱溶解させます。

アルミニウムイオンは錯イオンの形になることで溶解しますが、不純物の酸化鉄(III)などは溶けずに沈殿します。

次に沈殿を分離した水溶液に多量の水を加えます。

すると水溶液中の水酸化物イオン濃度が下がることで錯イオンが形成できなくなり(加水分解)、水酸化アルミニウムの白色沈殿が生じます。

これを取り出して加熱することで純粋なアルミナが得られます。

以上の流れは大まかに覚えておくと良いでしょう。

【Step.2】アルミナと氷晶石の融解塩電解

Step.1 で得られたアルミナを融解して電気分解を行いたいところですが、あいにくアルミナの融点は約2000℃で、簡単には溶かすことができません。

そこで氷晶石Na3AlF6:数字は下付き文字です)という鉱物をアルミナに混ぜて融解させます。

氷晶石のおかげで融点が約960℃まで下がり、融解可能となるのです。

これは融点降下凝固点降下:融点と凝固点は同じ温度ですよね)を利用した方法です。

以上の氷晶石の役割は最重要なので必ず覚えておきましょう。

あとは両極炭素電極で電気分解をするだけです。

反応式は次のとおりです。

アルミニウムの工業的製法 Step.2 アルミナ+氷晶石の融解塩電解(ホール・エルー法)

陽極では炭素が消費されて一酸化炭素二酸化炭素が発生します。

そして陰極からはアルミニウムの単体が得られます。

これら反応式も若干特殊なのでそのまま暗記しておきましょう。

まとめ

ここまでの内容をまとめておきます。

アルミニウムの工業的製法は2ステップでした。

前述のとおり特に Step.2 の氷晶石の役割と反応式が大事です。

次の単語カードのようにまとめておきます。

アルミニウムの工業的製法(融解塩電解)のまとめ(1)

アルミニウムの工業的製法(融解塩電解)のまとめ(2)

問題に挑戦!

最後にいつもどおり復習問題を用意しておきました。

重要なポイントをおさらいしてみてください。

問題

アルミニウムの工業的製法について次の各問いに答えよ。
1. アルミニウムの原料は何か。
2. 融解塩電解における氷晶石の役割を述べよ。
3. 融解塩電解で陽極の質量はどう変化するか。
4. アルミニウムイオンを含んだ水溶液の電気分解でアルミニウムの単体が得られない理由を述べよ。

<解答・解説>

1. ボーキサイト

2. アルミナの融点を下げる。

3. 減少する。(陽極の炭素は反応に関与し消費されるのでした。)

4. アルミニウムはイオン化傾向が水素よりも大きく、水溶液の電気分解では陰極から水素が発生してしまうから。(融解塩電解を行う理由がこれです。水素イオンや水が存在しない状況で電気分解を行う必要があります。)

無事全問正解できたでしょうか。

今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!