結合エネルギーにも「右-左」の公式を使おう!

難易度:★★☆☆
頻出度:★★☆☆

以前、次のリンク先の記事で、生成熱を用いた「右-左」の公式を解説しました。

熱化学方程式の問題に幅広く応用できる超便利な公式なので、是非チェックしていただければと思います。

今回は結合エネルギーにこの公式を応用する方法を解説し、例題を解いてみます。

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結合エネルギーとは?

まずは結合エネルギーの定義と注意点を確認します。

結合エネルギー

気体状態の分子の共有結合 1 molを切るのに必要なエネルギー。

<注意点>
・気体状態の分子について定義される。
・必要なエネルギーなので必ず吸熱。したがって熱化学方程式ではマイナスをつけて表す。

結合エネルギーは気体状態の分子について定義されるので、液体や固体が与えられた場合は蒸発熱や昇華熱を用いて一旦気体にしてから結合エネルギーを求めなくてはなりません。

また、蒸発熱や融解熱と同様に「必要なエネルギー」として定義されるので、必ず吸熱反応となります。

問題文では「結合エネルギーは〇〇kJ/mol」と書いていても、熱化学方程式で表すときは熱量の前にマイナスが必要になるので要注意です。

結合エネルギーの例

結合エネルギーは、「〇-□結合の結合エネルギー」と表記されるのが一般的です。

次の例を見てみましょう。

結合エネルギーの例

前述のとおり熱化学方程式ではマイナスをつけることに注意しましょう。

一つ目の水素の結合エネルギーは単純なので特に問題ないかと思いますが、二つ目の窒素の三重結合の結合エネルギーには少し注意が必要です。

三重結合は3本セットで一つの結合ですので、単結合3本分と考えると間違いです。

なので、「窒素(気)の結合エネルギーは 946 kJ/mol」と言われたときに、「三重結合だから3倍しなくちゃ」と考える必要はないのです。

解離エネルギーとの違い

似たような用語に「解離エネルギー」があります。

その定義は次のとおりです。

解離エネルギー

気体状態の分子内のすべての共有結合を切って気体状態の原子にするのに必要なエネルギー。

分子内に共有結合が複数あるときに、それらすべての共有結合を切るのに必要なエネルギー解離エネルギーと言います。

解離エネルギーも「必要なエネルギー」なので必ず吸熱です。

※先ほどの窒素の例のように、二重結合は2本で、三重結合は3本で1セットなので注意しましょう。

※先ほどの水素や窒素のように、二原子分子では結合がひとつしかないので、結合エネルギーと解離エネルギーが一致します。

結合エネルギーと解離エネルギーの違いを理解するための最適な例はアンモニアです。

次の図をご確認ください。

結合エネルギーと解離エネルギーの違い(アンモニアを例に)

ちなみにアンモニアの窒素原子には不対電子対があります。

ここに水素イオン(プロトン)が配位結合することで塩基性を示します。

「右-左」の公式

さて、ここからが本題です。

生成熱と同様に、結合エネルギーに関しても「右-左」の公式が使えます。

単語カードに公式をまとめますので、適宜暗記に使っていただければ幸いです。

結合エネルギーに関する「右-左」の公式のまとめ(熱化学方程式用、生成熱との比較)(1)

結合エネルギーに関する「右-左」の公式のまとめ(熱化学方程式用、生成熱との比較)(2)

生成熱のバージョンと比較しましたが、ご覧の通り全く同じです。

右-左」するだけで反応熱が求められるめちゃくちゃ便利な式です。

生成熱が与えられているときは生成熱に関して、結合エネルギーが与えられているときは結合エネルギーに関して、「右-左」するとよいでしょう。

問題に挑戦!

それでは実際にこの公式を用いて問題を解いてみましょう。

問題
ここまで出てきた結合エネルギーの値を用いて、アンモニア気体の生成熱(kJ/mol)を求めよ。

<解答>

冒頭に紹介したこちらの記事でも強調していますが、「右-左」の公式を使うときは次のことを意識しましょう。

結合エネルギーバージョンの注意点も追加しています。

・求めたい反応熱が絡む熱化学方程式を書く(係数を間違えないように!)。
・「右-左」で係数をかけることを忘れないようにする!
(結合エネルギーの場合は結合の個数にも要注意!)
・結合エネルギーは与えられた値をそのまま用いる(マイナスは必要なし!)

一点目について、本問の場合はアンモニア(気体)の生成熱を聞かれているので、アンモニア(気体)の生成熱の熱化学方程式を書きます。

その際、反応式の係数を間違えると元も子もないので細心の注意を払いましょう!

二点目について、「右-左」をするときは係数のかけ忘れに要注意でした。

次の解答の中でも紫色で注意喚起していますので、ご確認ください。

また、結合の個数のかけ忘れにも要注意です。

三点目について、結合エネルギーを熱化学方程式で書くときはマイナスをつけると注意しましたが、「右-左」をするときはマイナスをつける必要はありません

生成熱の場合と同様に、与えられた数値をそのまま用いればOKです。

ということで解答は次の通りです。

結合エネルギーに関する「右-左」の公式を用いる例題の解答

アンモニアは単結合が3本あるので3倍することを忘れないようにしてくださいね。

スッキリ正解できたでしょうか。

ということで今回は結合エネルギー版の「右-左」の公式を扱いました。

「右-左」の解法は大学に入ってからもずっと使えますので、必ずマスターしておきましょう!

最後まで読んでいただきありがとうございました!