接触法(硫酸製造)の流れ、触媒、発煙硫酸を使う理由

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★☆

今回は(濃)硫酸の工業的製法である接触法についてじっくり解説します。

接触法は高校化学で学ぶ工業的製法の中では比較的簡単な部類に入ります。

プロセスの流れが覚えやすく、問題で問われる個所も大体決まっているからです。

今回もどこを押さえておけば良いかを明確にしながら解説していきたいと思います。

計算例題と要点のまとめも是非ご活用ください。

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接触法のフロー図と反応式一覧

早速、接触法のフロー図と反応式一覧を示します。

接触法のフロー図と反応式一覧

以下ではこれに沿って各工程の詳細を説明していきます。

接触法の大まかな流れ「酸化酸化水と化合」と注意点を確認していきましょう。

①硫黄 or 黄鉄鉱を酸化

まずは原料となる硫黄の単体または黄鉄鉱(二硫化鉄)を空気中で燃焼し、二酸化硫黄とします。

燃焼なので酸化、つまり O をくっつける過程ですが、一応酸化数を確認しておきましょう。

S の酸化数は、反応前の単体では 0、黄鉄鉱中では -1、反応後の二酸化硫黄中では +4、と確かに酸化されています。

反応式に関しては、単体の硫黄を原料とする場合の反応式(①)はノープロブレムでしょう。

黄鉄鉱を原料とする場合の反応式(①’)は係数が大きめで難しく見えますが、二酸化硫黄と共に酸化鉄(III)(三酸化二鉄、Fe2O3)ができることを覚えておけば、案外簡単に両辺で係数を合わせて書くことができます。

酸化鉄には酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe2O3)、四酸化三鉄(Fe3O4)がありますが、鉄イオンを含む塩の一般的な酸化(空気中での加熱など)では基本的に酸化鉄(III)(Fe2O3)ができると理解しておきましょう。

鉄イオンは三価の方が安定と言えます。

※四酸化三鉄(Fe3O4)は酸化鉄(II)(FeO)と酸化鉄(III)(Fe2O3)の混合物と捉えられます。

<メモ>
現在では接触法の原料として黄鉄鉱はほとんど用いられません。
石油を精製する際の脱硫により得られる硫黄を用いるのが主流です。
しかし大学入試では原料が黄鉄鉱の場合の問題もいまだに出題されるので、一度見ておくと安心でしょう。

②二酸化硫黄を酸化

次も酸化のステップです。

二酸化硫黄にさらに O をくっつけて三酸化硫黄にします。

S の酸化数は +4 から +6 になりますね。

具体的には、二酸化硫黄を空気中で触媒の酸化バナジウム(V)(五酸化二バナジウム)に接触させることで酸化します。

この接触酸化が接触法の名前の由来であり、特に重要な工程です。

重要なので当然問題でもよく聞かれます。

触媒の名前と化学式は知識として必ず覚えておきましょう

触媒は反応式には出てこないので、反応式自体はシンプルで覚えるまでもないでしょう。

③発煙硫酸にして希硫酸で希釈

最後の工程も非常に重要で、よく問題(特に記述問題)にされます。

②で得られた三酸化硫黄を水と反応させれば硫酸の出来上がりです(S の酸化数は変化しません、硫酸の無水物が三酸化硫黄です)。

が、三酸化硫黄を直接水に溶かすことはできません。

何故なら多量の溶解熱が発生して水が沸騰してしまうからです。

こうなってしまうと大変で、沸騰で生じた水蒸気に三酸化硫黄が溶け込み、ミスト状の硫酸になり超危険です。

この、三酸化硫黄を水に直接溶かすことができない理由は知っておくと良いでしょう

ではどうするかと言うと、まずは三酸化硫黄を濃硫酸に吸収させて発煙硫酸とします。

そしてそれを希硫酸中の水で希釈する(希硫酸中の水と反応させる)ことで濃硫酸(濃度 98 %)とします。

この流れは暗記マストです。

このように最後のステップでは濃硫酸を用いて濃硫酸をつくるので、濃硫酸を製造するというより、濃硫酸の量を増やすようなイメージです。

<メモ>
発煙硫酸はその名のとおり常温で白煙を出す危険度MAXの油状の液体です。
濃硫酸よりもさらに強い脱水作用、酸化作用をもちます。

問題に挑戦!

以上が接触法の概要です。

ところどころ覚えなくてはいけないポイントがありましたが、全体としてみればそれほど難しくはないでしょう。

それではここで接触法に関する計算問題も見てみましょう。

お手元に紙と書くものがある方は、電卓なしでもいけるはずなのでささっと計算してみてください。

接触法の計算問題

第一段階の反応式が少し複雑な、原料が黄鉄鉱の場合を採用してみました。

他の大抵の工業的製法と同様に、通常のモル計算で十分対応できます。

<解説>

原料の黄鉄鉱と生成物の濃硫酸との関係を考えるのに、全体の反応式をつくる必要はありません。

①’ の反応式より黄鉄鉱 1 mol から二酸化硫黄が 2 mol でき、その後は②と③の反応式より、二酸化硫黄、三酸化硫黄、濃硫酸のモル数はすべて一定(1:1)で反応が進むと分かります。

よって黄鉄鉱 1 mol から濃硫酸は 2 mol 得られます。

これさえ分かれば後は単位を見ながら立式するだけです。

下の解答中に、式のどこまでが何を表すかを詳しく書いておいたので、参考にしてください。

唯一、与えられた密度の単位に合わせて「リットル → ミリリットル → 立法センチメートル」と単位の変換をするところでミスが起こりやすいので気を付けましょう。

接触法の計算問題の解答

余談ですが、硫酸の分子量は約98で濃硫酸の濃度も約98%なので、濃硫酸関連の計算問題は約分できることが多くてありがたいですね。

接触法の要点のまとめ

最後にまとめです。

接触法については、「酸化酸化水と化合」という全体の流れ、2つ目の反応における触媒、そして最後に発煙硫酸を経由すること、を押さえておけば大丈夫でしょう。

次のようにカードにまとめておきます。

接触法のまとめ(1)

接触法のまとめ(2)

今回は以上です。お疲れさまでした!

最後までお付き合いいただきありがとうございました。