体心立方と面心立方の原子の個数と a と r の関係。密度を求める例題を解説。

難易度:★☆☆☆
頻出度:★★☆☆

今回は体心立方格子面心立方格子について解説します。

結晶の立方格子の問題では3次元の図をイメージすることになりますが、これがなかなか難しく、苦手に感じる学生が多い原因となっています。

そこでこの記事ではあえて3次元の図は出さず、体心立方と面心立方のそれぞれについて押さえておくべきポイントのみをまとめて、問題を解いてしまいます。

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原子の個数と a と r の関係が大事

難しい応用問題はさておき、体心立方格子と面心立方格子に関するたいていの問題は、単位格子中に含まれる原子の個数と、 a と r の関係を覚えておけば対応可能です。

ここで a は単位格子の一辺の長さ、 r は原子半径です。

それでは体心立方格子と面心立方格子それぞれについて、原子の個数と a と r の関係を確認していきましょう。

<メモ>
これらはもちろんその場で計算しても良いですが、覚えてしまえばテストなどでの時間節約になります。

体心立方格子のポイント

体心立方格子では立方体の各頂点と体心(立方体の中心)に原子が位置しています。

原子の個数は 2 個(各頂点 1/8 個 ×8 + 中心 1個)です。

a と r の関係は体対角線(同一平面上にない2頂点を結ぶ対角線)に着目すればすぐに分かります。

次の単語カードにまとめたとおりです。

(このように断面図をイメージすれば3次元の図は不要です。)

体心立方格子のポイント(原子の個数と a と r の関係)のまとめ(1)

体心立方格子のポイント(原子の個数と a と r の関係)のまとめ(2)

面心立方格子のポイント

一方、面心立方格子では立方体の各頂点と各面の中心に原子が位置しています。

原子の個数は 4 個(各頂点 1/8 個 ×8 + 面の中心 1/2 個 ×6)です。

面心立方格子の場合は a と r の関係を考えるために面対角線(各面の対角線)に着目します。

次の単語カードにまとめたとおりです。

面心立方格子のポイント(原子の個数と a と r の関係)のまとめ(1)

面心立方格子のポイント(原子の個数と a と r の関係)のまとめ(2)

問題に挑戦!

それではここまでの知識を使って体心立方格子・面心立方格子に関する頻出問題に挑戦してみましょう。

特に結晶の密度 d を求める問題の解法は重要です。

意外と正解率が低い印象がありますので、是非一度解いておいてください。

問題

ある金属の結晶は体心立方格子をとる。
単位格子の1辺を a [cm]、原子量を M、アボガドロ定数を NA [/mol] とするとき、次の問いに答えよ。

(1)原子半径 r [cm] を a で表せ。
(2)結晶の密度 d [g/cm^3] を a、M、NA で表せ。
(3)単位格子が面心立方格子の場合、(1)、(2) の答えはどうなるか。

<解説>

体心立方格子と面心立方格子の例題の解答

(1) は単語カードに書いた式を r について整理すれば答えになります。

(2) は当ブログの十八番「単位に注目して立式」で簡単に解くことができます。

つまり単位同士も計算約分できることを利用して、密度 d の単位になるように与えられた物理量を掛けたり割ったりしていきます。

補足として「単位に注目して立式!」の思考の流れの例を文章で示しておきます。

左辺の d の単位 [g/cm3] を右辺でつくりたい

→まずは分子に [g] のあるM [g/mol] を書こう

→M の分母にある [mol] は左辺にはないから消したい

→NA [個/mol] の逆数で [mol] を消そう

→今度は分母に [個] が残ったから原子の個数をかけて消そう

→最後に体積 [cm^3] で割れば左辺と右辺の単位が同じになる!

ここで、原子量 M には本来単位はありませんが、[g/mol](1 mol あたりの g)としておくと計算上便利です(分子量や式量も同様です)。

また、アボガドロ数 NA の単位は [/mol] が正確ですが、その意味は「1mol あたりの個数」なので計算の際には [個/mol] とすると便利です。

日本では「個」という単位の概念がありますが、外国ではこの概念がないため、[/mol] が正式な単位となっています。

(3) は対象が体心立方格子から面心立方格子に替わっただけですので、考え方は全く同じです。

復習問題としてもご活用ください。

といったところで今回はおしまいです。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!