銅の電解精錬(陽極泥を覚えておけば大丈夫?)

難易度:★★☆☆
頻出度:★☆☆☆

今回は銅の工業的製法を取り上げます。

2つの工程から成りますが、後半の電解精錬が(たまに)テストに出ます。

考案した人のカタカナの名前がついていないので地味な印象ですが、イオン化傾向や電気分解の良い復習になると思いますので、はりきって見ていきましょう!

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①黄銅鉱から粗銅を得る

まずは原料の黄銅鉱から粗銅を得ます。

粗銅とは精製していない純度の低い銅のことですが、それでも純度は通常98~99%くらいあります。

不純物として含まれる銅以外の金属は、金、銀、鉄、亜鉛などです。

ここからさらに純度を高めるために、電解精錬を行います。

②電解精錬で純銅を得る

精錬とは「金属の純度を高めること」です。

なので電解精錬とは「電解電気分解で金属の純度を高めること」を言います。

ちなみに銅の電解精錬のことを特に電気精銅法とも呼びますが、あまり一般的ではないので覚える必要はありません(電解精錬の方が大事な用語です)。

<メモ>
精錬と製錬は似ていますが意味が全く異なります。
前者は上で述べたとおりで、後者は「原料の鉱石から金属(の単体)を取り出すこと」を指します。
なので「銅の製錬」と言えば①のステップを指しますが、①と②のステップをひっくるめて「銅の製錬」と言ってしまうことも多いと思います。

それでは銅の電解精錬の中身を詳しく見ていきましょう。

次の図をご覧ください。

銅の電解精錬(電気精銅法)の説明図

銅の電解精錬では、①で得られた粗銅を陽極純銅(純度がほぼ100%(99.99%以上)の銅)陰極硫酸銅(II)水溶液を電解液として電気分解を行います。

両極で起こる反応については次の記事を参考にしていただきたいと思いますが、この場合はけっこう簡単です。

銅の電解精錬(電気精銅法)の反応式

どちらの極でも主役は銅です。

まず陽極では、主に銅が電子を放出して溶け出し、銅(II)イオンとなります。

また粗銅内の銅よりもイオン化傾向の大きい(陽イオンになりやすい)金属である鉄や亜鉛なども、同様に電子を放出して溶け出し陽イオンとなります。

一方、粗銅内の銅よりもイオン化傾向の小さい(陽イオンになりにくい)金属である金や銀などは溶けずに陽極下に沈殿します。

この沈殿を陽極泥ようきょくでい)と言います。

入試でも聞かれることがある重要用語なので必ず覚えておきましょう。

また、粗銅内に含まれる不純物の金属が与えられたときに、その金属が陽イオンとして溶け出すのか、それとも陽極泥として沈殿するのか、イオン化傾向をもとに判断できるようにしておきましょう。

同時に、陰極では電解液中の銅(II)イオンが電子を受け取り電極上に析出します。

この析出した銅が純銅として回収できるわけです。

この回収される純銅も純度はほぼ100%(99.99%以上)であり、このことから電解精錬は非常に優れた金属の精製法だと言えます。

なお陽極から溶け出してきた鉄や亜鉛などの陽イオンは銅よりもイオン化傾向が大きい(陽イオンとして存在していたい)ために、陰極で析出することはありません(これが純度の高い銅が得られる理由です)。

以上が銅の電解精錬で起こる反応です。

陽極、陰極、電解液が何か、両極でどんな反応が起こるか、陽極泥とは何か、これらを理解した上で覚えておいて、説明できるようにしておきましょう!

問題に挑戦!

ここでクイズをひとつ出題しますので、ここまでの内容を踏まえてちょっと考えてみてください。

もしかしたら入試でも記述問題として出題されることがあるかもしれません。

問題

銅の電解精錬において、電解液である硫酸銅(II)水溶液の濃度はどのように変化するか。

<解説>

陽極で溶け出した分の銅(II)イオンが陰極で析出するから、硫酸銅(II)水溶液の濃度は不変、とはなりません。

陽極が放出する電子の量と陰極が受け取る電子の量は等しいですが、前述のとおり陽極では銅よりもイオン化傾向の大きい金属(鉄や亜鉛など)も微量ながら反応に関与します。

なので陽極で溶け出る銅(II)イオンの量は、陰極で析出する銅(II)イオンの量よりも少なくなります。

このように析出量の方が多いので、硫酸銅(II)水溶液の濃度は減少します

なお、電解液中に元々あった銅(II)イオンと陽極から溶け出してきた銅(II)イオンに区別はないので、陰極で析出する銅(II)イオンが電解液由来か陽極由来かは分かりません。

ちなみにモル計算の問題が出題されたとしたら、やはり「陽極が放出する電子のモル = 陰極が受け取る電子のモル」を使うことになります。

その上で陽極では電子を放出するプレイヤーが銅以外にもいることに注意しましょう。

具体的には、例えば上図のように粗銅に不純物として鉄や亜鉛が含まれるときは、

「陽極で銅が放出した電子のモル + 鉄が放出した電子のモル + 亜鉛が放出した電子のモル = 陰極で銅が受け取った電子のモル」

という式を立てます。

まとめ

それでは最後に今回の内容の要点をまとめておきましょう。

銅の工業的製法では特に電解精錬が重要です。

電解液が硫酸銅(II)水溶液であることと、陽極と陰極のどちらが粗銅でどちらが純銅か、を押さえておけば反応式は簡単に書けるでしょう。

その上で陽極泥という用語も取りこぼしのないように覚えておきましょう。

次のように単語カードにまとめてみました。

銅の電解精錬(電気精銅法)のまとめ(1)

銅の電解精錬(電気精銅法)のまとめ(2)

今回は以上です。

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます!