【高校化学】乾燥剤一覧&使用のルールと例外

難易度:★★☆☆
頻出度:★☆☆☆

化学実験で気体を発生させ捕集した後、必要があれば乾燥剤を用いて水蒸気(湿気)を取り除きます。

高校化学では主に5つの乾燥剤が登場しますが、この中にどんな気体にも使える万能な乾燥剤というものはありません。

気体の種類ごとに使える乾燥剤が決まっているのです。

「この気体に使える乾燥剤は何か、次の中から選べ。」と聞いてくる入試問題もときどきあります。

今回はそういった問題への対策として、5つの乾燥剤、使用のルール、そして例外をまとめます。

おわりには知識の確認・復習用に演習問題もつくってありますので、是非最後までお付き合いください。

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乾燥剤一覧

早速、よく用いられる乾燥剤一覧を示します。

それぞれの乾燥剤が何性なのかも併せて覚えておきましょう。

今回ももちろん単語カードにまとめました。

(常識的な化学式は省略しています。)

乾燥剤一覧(酸性、中性、塩基性)(1)

乾燥剤一覧(酸性、中性、塩基性)(2)

それぞれについてコメントしますので、お時間がある方は(無機化学の)知識の確認に役立ててください。

少し長くなるので次の「乾燥剤使用のルールと例外」まで飛ばしていただいても構いません。

メモ:酸性の乾燥剤2つ

濃硫酸は4つの重要性質をもちます。

不揮発性酸化性脱水性吸湿性です。

この中の吸湿性(気体に含まれる水蒸気を吸収する性質)を利用して乾燥剤として用います。

ちなみに脱水性と吸湿性は同じことのように聞こえますが、全くの別物です。

脱水性は相手化合物から水を引き抜く性質のことです。

具体的にはグルコースやスクロースといった有機化合物中の水を引き抜き、炭化します(C にします)。

(濃)硫酸の工業的製法である接触法についてはこちら↓

続いて十酸化四リンですが、これは「じっさんかしりん」と読みます。

リンの単体を空気中で燃焼することで得られる酸化物です。

十酸化四リンを水に加えて加熱するとリン酸になります。

メモ:中性の乾燥剤1つ

塩化カルシウムは代表的な乾燥剤で、潮解性(空気中の水分を吸収して溶ける性質)をもちます。

有機化合物の元素分析において、一つ目の管に入れて水の吸収定量に使用します(塩カル管)。

(二つ目の管には後述のソーダ石灰を入れます。)

また凝固点降下を利用して融雪剤凍結防止剤)として使われることでも有名です。

工業的にはアンモニアソーダ法の副生成物として大量に製造されます。

アンモニアソーダ法についてはこちら↓

メモ:塩基性の乾燥剤2つ

酸化カルシウム(生石灰)もアンモニアソーダ法で登場する物質です。

炭酸カルシウムの熱分解で得られ、水と反応すると発熱して水酸化カルシウムになるのでした。

乾燥剤としても優秀で、空気中の水分はもちろん、塩基性なので酸性気体の二酸化炭素も吸収します。

水分を吸収すれば水酸化カルシウムに、二酸化炭素を吸収すれば炭酸カルシウムになります。

最後の一つ、ソーダ石灰は酸化カルシウムを濃水酸化ナトリウム水溶液に浸して加熱することで得られる白色で粒状の乾燥剤です。

単独でも乾燥剤として使われる酸化カルシウムに潮解性を示す水酸化ナトリウムを混合しているのでパワーアップ!、水と二酸化炭素の吸収力はピカイチです。

前述のように有機化合物の元素分析において二つ目の管に入れられ、二酸化炭素の定量を担います。

ここでソーダ石灰管を塩化カルシウム管の後ろに置くのは、ソーダ石灰が二酸化炭素だけでなく水も吸収するから二酸化炭素のみを定量するため)です。

このことは大学入試でも記述問題で頻出です。

乾燥剤使用のルールと例外

以上、入試にでる乾燥剤はたった5つなので必ず覚えておきましょう。

そしてこれらの使用にはルールがあり、次の単語カードのとおりです。

乾燥剤使用のルールと例外のまとめ(1)

乾燥剤使用のルールと例外のまとめ(2)

基本ルールとして、中和反応が起こるので、酸性の気体に塩基性の乾燥剤を使うこと、また塩基性の気体に酸性の乾燥剤を使うことはNGです。

では中性の塩化カルシウムはどんな気体にも使えるのかと言うと、そうは問屋が卸しません。

塩化カルシウムアンモニアを乾燥させることはできません

カード中に示したような分子化合物を形成してしまうからです。

(逆に中性の気体にはすべての乾燥剤を使うことができます。)

また、硫化水素は酸性気体ですが、濃硫酸で乾燥させることはできません

硫化水素は還元剤として働くので、濃硫酸と酸化還元反応が起こり得るからです。

ルールには例外がつきもの、以上の2点は理由と併せてしっかり押さえておくことが大事です。

問題に挑戦!

それでは以上の知識を基に、実際の問題に挑戦してみましょう。

上で示した単語カード2枚のまとめを覚えていただければ、この手の問題は必ず解けるはずです!

問題

次の気体と乾燥剤の組み合わせのうち適切なものはどれか。
1. 塩素をソーダ石灰で乾燥
2. 一酸化炭素を生石灰で乾燥
3. アンモニアを塩化カルシウムで乾燥
4. 二酸化硫黄を十酸化四リンで乾燥

<解答>

順に見ていきましょう。

基本は「中和を避ける」で、あとは2つの例外に注意します。

1. 塩素は酸性気体でソーダ石灰は塩基性乾燥剤ですから、中和が起こり得る組み合わせなので誤りです。

2. 一酸化炭素は中性気体なのですべての乾燥剤が使用可能です。よって生石灰での乾燥は問題ありません。

3. アンモニアと塩化カルシウムの組み合わせは分子化合物を形成するので例外的に不可でした。

4. 二酸化硫黄は酸性気体で十酸化四リンは酸性乾燥剤ですから、中和を避けた組み合わせなので正しいです。

以上より、答えは2と4です。

無事正解できたでしょうか。

乾燥剤の問題は暗記していれば確実に得点できるので、取りこぼしのないようにしておきましょう!

今回は以上となります。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!