電流の定義(向き・大きさ・単位):I=envS の公式の導出と覚え方

難易度:★☆☆☆
頻出度:★★★☆

今回のテーマは電流の定義です。

基本中の基本ですが、基本的なところだからこそ、正確に押さえておくことが大切です。

目に見えない電流をどのようにイメージしたらよいか、大きさを求める公式はどういう意味を持つのか、こういったところに重きを置いて解説していきたいと思います。

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電流とは

そもそも電流とは何でしょう。

一言で言えばその名のとおり「電気の流れ」のことです。

英語でもそのまま「electric current」と言います。

(electric を省略し、単に current とすることも多いです。)

本当に流れるのは自由電子

「電気の流れ」と言うと、あたかも「電気」というモノがあって、それが銅線などの中を流れるようにイメージしてしまいますが、これは正しくありません。

銅線などの固体物質中を移動するのは正確には「電子」です。

もっと言うと、移動するのは自由に動ける電子、つまり「自由電子」です。

電子は負の電荷(電気量)を持っていますから、本当は「負の電荷を帯びた自由電子の流れが電流を生む。」のです。

<メモ>
化学で習う内容ですが、金属原子同士が金属結合をする際に、互いに共有する価電子のことを自由電子と言います。
金属の性質である「電気や熱の高伝導性」、「金属光沢」、「展性・延性」はすべて自由電子の存在に起因します。
なお、金属原子から自由電子を除いた部分は陽イオンであり、こちらは固体中を移動せずその場で振動しています。

電流の定義① 向き

負の電荷を帯びた自由電子の流れが電流を生む。

最後の部分が回りくどい表現だな、と思われたかもしれません。

しかし「自由電子の流れが電流」と言ってしまうと、これまた語弊があるのです。

何故なら、電流の向きは「正電気の流れる方向」と定義されているからです。

(これは決まりなのでしょうがありません。)

よって電流の流れる向きは自由電子の移動方向と逆向きになります。

本当は負の電荷を持つ自由電子が移動しているけれど、それと逆向きにあたかも正の電気が流れている、と考えるのが電流ということです。

電流の定義② 大きさと単位

電流の向きの定義を説明しましたので、次は電流の大きさ(強さ)の定義に移りましょう。

電流の大きさは「任意の断面を単位時間[s]に通過する電気量[C]」と定義されます。

また電流の単位としてはアンペア [A] が用いられますが、この定義を押さえておけば、[A] = [C/s] を併せて覚えておくことができます。

I=envS の導出

それではこの定義をもとに、電流の大きさを求める式を導出してみましょう。

導出の過程がそのまま出題されることも多いですし、結果の式を使った計算問題も頻出です。

電流が流れる対象は何でもOKですが、最もイメージしやすい銅線(断面は円)を考えてみます。

(断面の形が何であれ、計算には断面積を用いるので(長さ方向に断面積が変化しない限り)結果の式は変わりません。)

次の図をご覧ください。

電流の定義と I=envS の導出

何点か補足します。

・単位を常に意識しよう!

当ブログでいつも言っていることですが、式を立てる際は単位に注目しましょう。

単位同士も計算(約分)できるので、各物理量の単位を見て、目的の単位になるようにかけあわせることで、式をつくることができます。

なお、[個] という単位は式を立てる際には大変便利ですが、日本でしか通用しない単位なのでかっこ書きにしています。

・電子の数密度

電子の数密度とは、対象物 1立法メートルあたりに含まれる電子の数のことです。

よって単位は [(個)/m3] となります。

・電気素量

自由電子1個が持つ電荷(電気量)は -e [C] です。

(e を電気素量といいます。)

求めたいのは電流の大きさなので、最後の式ではマイナスを消すために絶対値をつけています。

I=envS の覚え方

さて、結果の「I=envS」の式は要暗記です。

有名な式なので覚え方がいくつか開発されていますが、オススメの2つを以下で紹介します。

(丸暗記ではなく、各文字の意味や導出の過程を押さえた上で覚えましょう。)

エンブス

右辺をそのまま「エンブス」と覚えます。

拍子抜けされそうですが、これが何故か意外と覚えやすい!

私は断然「エンブス」派です。

この覚え方の良いところは、文字の並びが変わらない点です。

自由電子1個当たりの電気量の絶対値(大きさ)e を、断面を通過する自由電子の個数 nvS にかける、という導出の流れを崩さないのは大事です。

アイアム…

「I=envS」を並べ替えて「I=vSne」を全体で英語的に読んで「I am ブス ねー。」と覚えます。

イコールを be 動詞の am に読み替えているのがうまいですよね。

e と vSn が分かれているので導出の流れはかろうじて保たれていますが、大文字の S が途中にあって少し違和感があります。

(ちなみに私の友人は「Sevn(セブン)」と覚えていましたが、これでは導出の流れが失われてしまうのであまりオススメできません。)

結局のところ、覚えられれば何でもOKです!
ただ、くどいようですが、導出の流れはお忘れなきように!

まとめ

今回は図よりも文字が多めな記事でしたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

最後に恒例の単語カードのまとめです。

電流に関しては、その定義から導かれる「向き・大きさ・単位」の要点を、次のように押さえておくことがはじめの一歩となります。

電流の向き・大きさ・単位のまとめ(1)

電流の向き・大きさ・単位のまとめ(2)

今回は以上です。

お疲れさまでした!