電気分解の反応式が激的に書ける!陽極と陰極の優先順位のまとめ

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★★

今回は満を持して(?)電気分解を取り上げます。

電気分解の問題は、両極で起こる反応が分かり、その反応式を書くことができればもう解けたも同然です。

そこで本記事では両極で起こる反応を判断するための根拠となる「優先順位」を紹介します。

これさえ覚えておけば電気分解の反応式がスラスラ書けるようになりますよ!

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電気分解とは

まずは電気分解の概要をお話ししていきます。

電解液(電導性のある溶液)に2枚の電極を浸し、両者の間に外部から直流電圧をかけることで、酸化還元反応を無理やり起こす操作電気分解(または単に電解)といいます。

「無理やり起こす」というのがちょっとしたポイントです。

電気分解で起こる反応は電解液を放置しておいて勝手に起こるものではありません。

また「直流電圧をかける」というと何だか大げさですが、単に電池につなげるということです。

電池の負極とつないだ電極を陰極電池の正極とつないだ電極を陽極といいます。

これら2つの電極で起こる反応をしっかり理解することが大切です。

陰極と陽極で起こる反応

まずは陰極と陽極で酸化と還元のどちらの反応が起こるのかを確認しましょう。

次の図をご覧ください。

電気分解の概要(「電池の負極は還元剤」を覚える)

電子の動きに注目しましょう。

電子を失うのが酸化、電子を得るのが還元でした。

よってそれぞれ、電池の負極では酸化反応が、正極では還元反応が、電気分解の陰極では還元反応が、陽極では酸化反応が起こります。

これを丸暗記するのは損です。

何故なら図中に示したように、どこか1か所だけ覚えておけば、後は隣り合うところは「逆」と芋づる式に導き出せるからです。

オススメは「電池の負極は還元剤」と(呪文のように)押さえることです。

何故4か所の中から電池の負極を選んだかというと、もし忘れたとしても、その場ですぐに次の論理を使って思い出せるからです。

電流の流れる向きが「正極→負極」なのは常識で、電子の流れる向きがその逆「負極→正極」なのも理系学生にとってはもはや当たり前のことですよね。

ということは、電池の負極が電子を放出することを私たちはすでに知っています。

酸化還元の定義より、電子を放出するのは還元剤(自身は酸化される)なので、つまるところ「電池の負極は還元剤」となります。

この論理さえしっかり身に付いていれば、負極とつながる陰極は「逆」だから酸化剤陽極はそのまた「逆」で還元剤、と簡単に理解できます。

両極の優先順位を覚えるべし

さて、陰極で還元反応、陽極で酸化反応が起こることが分かりました。

あとは電極と電解液の組み合わせが与えられたときに、両極でどの物質が反応するかが判断できれば、両極で起こる反応が分かります。

ここが最も大事なところで、またつまづいてしまう方が多いところでもあります。

対策としては両極で反応する物質の優先順位を覚えておくのが有効です。

ということで、両極で起こる反応が絶対に書けるようになる、最強のまとめをご提供します!

なお、両極でおこる反応は酸化還元の半反応式として表すことになります。

覚えておくべき酸化剤、還元剤の半反応式については次の記事でリスト化していますので併せてご活用ください。

この後出てくる半反応式もすべて網羅されています。

おかげさまで当ブログの中でも特に人気の高いコンテンツです。

【まとめ】陰極の優先順位

陰極で還元される物質の優先順位は次の単語カードのとおりです。

電気分解:陰極の優先順位のまとめ(1)

電気分解:陰極の優先順位のまとめ(2)

<補足説明>

まず前提として、陰極には陽イオンが集まります。

陰と陽は電気のマイナスとプラスのようなものですから、イメージどおりですよね。

まず最も還元されやすいのはイオン化傾向の小さい銅(II)イオン、銀イオンです。

イオン化傾向が小さいということは陽イオンとして存在しにくいということなので、これらのイオンが電解液中に存在するときは、真っ先に電子を受け取って陰極に析出します。

次に電解液中にこれらのイオンが存在せず、水素イオンが多く存在する場合は、水素イオンが電子を受け取ります

この場合は陰極から水素が発生します。

最後に電解液中にイオン化傾向が小さい陽イオンが存在せず、水素イオンも多く存在しない場合は、しょうがないので水が電子を受け取ります

この場合も陰極からは水素が発生します。

なお水の還元の半反応式は少々やっかいなので、カード中に書いたとおり丸暗記しておくのもオススメです。

または「(水が電子を得ると)水素と水酸化物イオンが生じると覚えておくだけでもずいぶん楽に書けると思います。

<お役立ちメモ>
優先順位③の「水の還元の半反応式」の両辺に水素イオンを2個足すと、優先順位②の「水素イオンの還元の半反応式」になります。

【まとめ】陽極の優先順位

一方、陽極で酸化される物質の優先順位は次の単語カードのとおりです。

電気分解:陽極の優先順位のまとめ(1)

電気分解:陽極の優先順位のまとめ(2)

<補足説明>

まず前提として陽極には陰イオンが集まります。

これまた陰と陽のイメージどおりですよね。

陰極と異なり陽極ではまずはじめに、電極そのものが溶解するかどうかを考えなくてはいけません。

電解液中の陰イオンが電極付近まで移動して電子を放出するよりも、電極自身が溶けて電子を放出する方が簡単なので、電極の物質が溶解可能な場合は優先的に溶解して陽イオンになります。

入試対策としては銅板や銀板のときは溶解すると覚えておけば十分でしょう。

なお電気分解でよく用いられるのは炭素電極や白金電極ですが、これらは溶解しません。

ということで炭素電極や白金電極の場合は次の順位に移ります。

主な陰イオンとしてハロゲン化物イオン(フッ化物イオンを除く)が存在する場合は、優先的に酸化されて単体となります。

なおフッ化物イオンの中でも塩化物イオンの登場頻度は群を抜いており、塩化物イオンが酸化されると塩素の気体が発生します。

次に電解液中にハロゲン化物イオンが存在せず、水酸化物イオンが多く存在する場合は、水酸化物イオンが電子を放出して酸素が発生します。

この反応式も慣れていないと作りづらいので一応カード中に書いておきました。

電極自身は溶けない、ハロゲン化物イオンもない、水酸化物イオンも多くない、となると、しょうがないので水が電子を放出します

陰極の場合と同様に最後の砦は水なんです。

この場合陽極からは酸素が発生します。

なおこの半反応式も少し難しいので、まるごと覚えておくのも良いでしょう。

または「酸化剤としての酸素の半反応式の逆」と覚えておくのもかなりアリです。

<お役立ちメモ>
優先順位④の「水の酸化の半反応式」の両辺に水酸化物イオンを4個足すと、優先順位③の「水酸化物イオンの酸化の半反応式」になります。

問題に挑戦!

長い補足説明でお疲れのところ恐縮ですが、最後に例題の解説を行いたいと思います。

ここまでの優先順位の知識を使っていただければ電気分解の反応式が確実に書けることを実感してください!

電気分解の反応式をつくる例題

<解説>

基本的には上で示した優先順位を使っていただければOKですが、いくつか注意点やコツをお伝えしたいと思います。

1点目、下の解答中にも書きましたが、反応式を書きはじめる前に電解液中に存在する主な陽イオンと陰イオンを見やすくしておきましょう

小さなことのように思われるかもしれませんが、こうすることで両極に何のイオンが集まるかを冷静に考えることができ、思いがけないミスが減ります。

2点目、問題文を読んでいるときに炭素電極と白金電極以外の電極を見つけたら、すかさずチェックしておきましょう。

陽極の優先順位①「電極の溶解」が起こる可能性があります。

案外忘れやすいので、問題文を読む段階から陽極が溶けないかどうかを意識しておくことをオススメします。

お待たせしました。

解答は次のとおりです。

なお①、②などの数字は優先順位を表します。

電気分解の反応式をつくる例題の解答

いかがだったでしょうか。

今回紹介した優先順位をしっかり押さえていただければ、電気分解の反応式は百発百中で書けるはずです!

反応式さえ書ければ後はちゃちゃっと計算するだけ。

電気分解の計算問題は見掛け倒しのものがほとんどで、恐るるに足りません。

ということで次回は、電気分解の計算問題の解法を例題でみっちり解説したいと思います。

次回もどうぞよろしくお願いします。

最後までお読みいただきありがとうございました。