ファラデーの電解の法則で計算!電解槽の直列&並列回路

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★★

前回の最後に予告したとおり、今回は電気分解の計算問題を解説します。

電気分解の計算問題は一見難しそうに見えるものが多いですが、落ち着いて解き進めていけば案外何とかなるものです。

今回取り上げる例題も電解槽3つが直列と並列につながっている複雑な回路ですが、解説を読んで「けっこう簡単じゃん」と実感していただきたいと思います。

スポンサーリンク

ファラデーの電解の法則とは

はじめに電気分解の計算の要となるファラデーの電解の法則について説明します。

物理の電磁気分野で習うファラデーの電磁誘導の法則と区別するために、タイトルには「電解」と付けましたが、ここからは単にファラデーの法則と呼んでいきますね。

では次の図をご覧ください。

ファラデーの法則の概要とファラデー定数の使い方

ファラデーの法則は「電気分解時に陽極と陰極で反応に関与する物質のモル数は、流れた電子のモル数に比例する」というものです。

が、これは大した話ではありません(ファラデーさんごめんなさい)。

普通の化学反応で量的関係(モルの関係)を考える際には反応式の係数比を使いますよね。

全く同じように、電気分解でも陽極と陰極の反応式の係数比を使って、各物質と電子の量的関係を考えられる、ということです。

なので陽極と陰極(つながっている電池の反応も考えるときは、電池の正極と負極も含めたすべての電極)の反応式さえ正確に書ければ、後の計算の仕方に特に新しいことはありません。

ファラデー定数は値と単位を覚える

さて、ファラデーの法則は特に目新しいものではありませんが、ファラデー定数はしっかり覚えておくべき物理定数です。

ファラデー定数は1モルの電子の電気量を表し、約 96500 C/mol です。

問題文で与えられることも多いですが、数値も単位も必ず押さえておきましょう。

単位を見れば分かるとおり、流れた電子の電気量[C]をファラデー定数[C/mol]で割ることにより、流れた電子のモル数[mol]を求めることができます。

実際の問題では流れた電流の大きさ[A]と電解時間[s]が与えられることが多いので、両者をかけて電気量[C]を求めてからモル数[mol]に変換します。

電流の単位[A]を分解すると[C/s]になることを思い出しましょう。

なお、以上の話・流れは暗記するものではありません。

求めたい物理量の単位と与えられている物理量の単位を見比べれば、何を何で割れば良いか、何と何をかければ良いか、その場ですぐに分かります。

当ブログでいつも強調しているように単位を意識すれば式は作れるのです。

電気分解の計算方法のまとめ

ここでひとまずまとめておきましょう。

電気分解と言えど、やることはいつもと同じ。

反応式を書いて「係数比=モル比」を使うだけです。

電子のモル数を求めるにはファラデー定数 96500 C/mol を用います。

次の単語カードに整理したとおりです。

電気分解の計算問題の解き方(ファラデーの法則とファラデー定数)のまとめ(1)

電気分解の計算問題の解き方(ファラデーの法則とファラデー定数)のまとめ(2)

ポイントの「電子のモルを軸に考える!」ことについては次の例題解説でお話ししていきます。

問題に挑戦!

それでは張り切って例題を見ていきましょう。

お時間のある方は是非実際に解いて答えを出してみてください。

電気分解の計算問題の例題(直列&並列回路)

(割り切れる数字にしてみました。)

<解説>

まずは何といっても、各電極の反応式を書くことからはじめます。

前回の記事を読んでポイントをマスターしていただければ、電気分解の反応式が面白いように書けるようになりますよ!

反応式を間違えてしまうとその時点でジ・エンドなので、ここに多くの時間を割いて冷静に取り組むべきです。

もちろん各電極が陽極か陰極なのかも間違えないようにしっかり把握しておきましょう。

図に書き込んでおくと安心です。

電気分解の計算問題の例題(直列&並列回路)の解答その1(反応式を書く)

そしていよいよここからが本記事のテーマです。

電気分解後に電極①の質量が増えたのは電極に銅が析出したからです。

析出した銅の質量をモルに変換し、電極①の反応式の係数比から、電解槽Aを通過した電子のモル数を求めましょう。

電子のモルが解法の軸です!

また電流と電解時間が与えられていますので、回路全体を流れた電子の電気量、そしてモル数が分かります。

ファラデー定数の出番ですね。

くどいようですが単位を見れば式は立てられます。

電解槽の直列と並列

さて設問には関係ないですが、電解槽Bを流れた電子のモル数は電解槽Aを流れた電子のモル数と同じです。

直列につながれた電解槽同士には同じモル数の電子が流れます

また電解槽Cを流れた電子のモル数は、「回路全体を流れたモル数 ー A(B)を流れたモル数」となります。

並列につながれている場合、各電解槽を流れる電子のモル数を合計すれば、合流後の総モル数となります

以上の、直列&並列接続における各電解槽を流れる電子のモル数の関係は、この手の問題を解くときに必ずと言っていいほど使う関係なので押さえておきましょう。

(と言っても当たり前のことで違和感なしですよね。)

何はともあれ電解槽Cを流れる電子のモル数が分かりましたので、電極⑥の反応式の係数比を使って発生した酸素のモル数が求められます。

標準状態での体積[mL]を聞かれているので 22.4 L/mol をかけて、さらに1000をかけて[L]→[mL]に変換して終了です。

電気分解の計算問題の例題(直列&並列回路)の解答その2(ファラデーの法則で計算する)

いかがだったでしょうか。

複雑に見える電解回路でしたが、じっくり時間をかけて各電極の反応式を書き電子のモルを軸に計算することで意外とすんなり解き切ることができました。

電気分解の計算問題はこんな感じでけっこうなんとかなるものです。

「たしかに!」と実感していただけたなら幸いです。

今回は以上となります。

最後まで読んでいただきありがとうございました!