内部エネルギー変化の式はいつもコレ!熱量&仕事と併せて押さえよう!

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★☆

前回は熱力学の第一法則のイメージ、「気体の気持ちになって立式することを説明しました。

今回はもう一歩踏み込んで、この法則をマスターするための必須知識を解説したいと思います。

特に内部エネルギー(変化)の式必ず覚えておきましょう!

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熱量、内部エネルギー、仕事の具体的な式

早速ですが、今回のポイントを単語カードにまとめます。

熱力学の第一法則の具体的な計算方法の概要

熱力学の第一法則の具体的な計算方法の詳細

Qin、ΔU、Wout についてそれぞれ説明します。

Qin

気体がもらった熱量で、モル数×モル比熱×温度差で求められます。

が、問題文で与えられる、もしくは「熱力学の第一法則」の結果として導き出す場合も多いです。

定圧変化(圧力一定の変化)では「モル数×定圧モル比熱×温度差」、定積変化(体積一定の変化)では「モル数×定積モル比熱×温度差」となります。

ΔU

気体がためた内部エネルギー変化で、いつでもモル数×定積モル比熱×温度変化で計算できます。

※「定積モル比熱」は定積変化だけに限らず、内部エネルギーを求める際にいつでも使える物理量ので、その名前に騙されないようにしましょう!

Wout

気体が外部にした仕事で、p-Vグラフの面積積分値)として求められます。

が、「熱力学の第一法則」の結果として計算する場合が多いです。

なお気体が外部からされた仕事 Win は Wout と正負が反対です。

このように、Qin、ΔU、Wout、それぞれを算出するための方法・式が決まっています。

問題を解く際の姿勢としては、前回の記事でも述べたとおり、まずはじめに気体の気持ちになって「熱力学の第一法則」を立式します

その後、Qin、ΔU、Wout のうち、分かっている物理量から計算して代入する、というアプローチがよいでしょう。

問題に挑戦!

それでは次の例題でこのアプローチを確認しましょう。

苦手意識を持つ方が多い、文字で答える問題です。

問題

1 mol の単原子分子理想気体を断熱圧縮した。
圧縮前の温度を T1、圧縮後の温度を T2 とするとき、気体が外部からされた仕事を求めよ。
ただし気体定数は R とする。

<解説>

まず注意点ですが、問題文では気体が外部からされた仕事を聞かれています。

しかし上述のとおり「熱力学の第一法則」では気体が外部にした仕事 Wout を使います。

このことは冒頭でリンクを示した前回の記事でも強調しています。

必ず Wout を使って解き進めましょう!

図を描き、とりあえず「熱力学の第一法則」を書き下し、Qin、ΔU、Wout のうち、分かるものから処理していきます。

はじめに「断熱」圧縮ですから、Qin はゼロとわかるので代入します。

また、ΔU はどんなときでも「モル数×定積モル比熱×温度変化」で計算できるのでした。

お目当ての Win と正負逆の Wout はすぐにはわかりません。

ですが第一法則に登場する3つの物理量のうち他の2つが埋められたので計算可能です。

ここで変化量 Δ はいつでも「後-前」で計算することに注意しましょう。

熱力学の第一法則(実践版)を使う例題の解答その1

さて、問題文で与えられていない定積モル比熱 Cv が Wout の式に残ってしまいました。

単原子分子の定積モル比熱

そこで単原子分子(理想)気体の定積モル比熱に関する次の知識を使います。

なかなかによく使う知識なので必ず覚えておきましょう!

単原子分子気体の定積モル比熱は?

単原子分子気体の定積モル比熱は3R/2

 

単原子分子(理想)気体の場合、定積モル比熱はいつでも 3R/2 となります。

証明には「気体の分子運動論」を用いますが、ここでは省略します。

ではこの知識を使って解答を完成させましょう。

熱力学の第一法則(実践版)を使う例題の解答その2

以上のように、答えを導くことができました。

最後に補足ですが、本問では断熱「圧縮」しているので、Wout は負になります。

気体定数 R は正の値なので、Wout の式より、T2 > T1、つまり断熱圧縮により気体の温度が上がったことがわかりますね。

今回はここまでです。

前回と今回で「熱力学の第一法則」に対する理解が深まれば幸いです。

次回はこの2回分の復習も兼ねて、マイヤーの関係式を導出し、単原子分子(理想)気体の定圧モル比熱を求めたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回もどうぞよろしくお願いします。