物体に作用する力が必ず正確に図示できるようになるポイント

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★★

前回、運動方程式の意味と活用手順を説明しました。

 

今回は、運動方程式を正しく立式できるかを左右するカギとなる、物体に作用する力の図示のポイントを解説・演習します。

 

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力の種類

はじめに、物体に作用する力の種類を分類します。

課程や教える人により、力の種類分けはけっこう異なりますが、ここでは次の3種類を考えます。

力の種類3つ

1. 場の力
2. 接触力
3. 慣性力

場の力

場の力とはその場にある物体が等しく受ける力で、代表例は重力です。

地球上にある物体は等しく重力 mg を受けますよね。

また、電磁気分野で学ぶ電場や磁場から受ける力場の力と分類できます。

これら場の力は、接触していなくても受ける力、いわば非接触力です。

重力も、磁石同士を近づけたときの引力や斥力(反発力)も、接触していなくても力を感じることができます。

接触力

接触力は場の力(非接触力)と異なり、物体同士が接触することで生じる力です。

世の中のほとんどの力は接触力になります。

例えば、垂直抗力、ひもの張力、ばねの弾性力、摩擦力、空気の抵抗力など、物体と接触している何かが物体に及ぼす力はすべて接触力です。

接触力を考えるときは、接触力が生じる接点を意識すると、漏れなく力を考えることができます(後で詳しく説明します)。

慣性力

最後の慣性力は特殊な力です。

慣性系に対して加速度運動する観測者(非慣性系)から見たときに働く見かけの力で、通常は考える必要はありません。

例として、物体が円運動するとき、同じ角速度で円運動する観測者から見たときに生じる遠心力が挙げられます。

まずは力がこれら3種類に分類されることを押さえておきましょう。
次は物体に作用する力を調べる際の大原則、作用・反作用の法則を解説します。

作用・反作用の法則

作用・反作用の法則は誰もが知っている有名な原理ですが、しっかり使いこなせている人は意外に少ない印象です。

ここで一度要点を復習しておきましょう。

作用・反作用の法則

・力は必ずペアで存在する。
・「AがBを押す力(Bに働く力)」と「BがAを押す力(Aに働く力)」は逆向きで同じ大きさ。

作用反作用の法則の説明図

力は必ずペアで存在し、作用・反作用の法則に従います。

上図中に書いた通り、作用・反作用の関係にある逆向きで同じ大きさの力のペアを探すには、片方の力の主語と目的語を入れ替えれば良いのです。

つまり、「AがBを押す力」の反作用は、AとBを入れ替え、「BがAを押す力」です。

ここで、目的語側に作用点が生じることに注意しましょう。

つまり前者の力はBに、後者の力はAに作用点があります。

実際には、基本的には作用点同士は接触し、作用線は一致しますが、図を描くときには物体同士を少し離して描くと作用点が分かりやすくて良いと思います。

さて、作用・反作用の例をもう一つ。

すべての力はペアで存在します。

例えば場の力(非接触力)の重力だって例外ではありません。

地球があなたを引く力」である重力の反作用は、「あなたが地球を引く力」です。

誰もが地球を引っ張っているんです!
でも地球の質量に対してその力の大きさは小さすぎるので地球は動きませんが。。。

<注意>
上で挙げた力3種類のうち、慣性力だけが例外です。
前述のとおり、慣性力は見かけの力で実際に働く力ではないので、作用・反作用の法則には従いません。

物体に作用する力を図示する手順

ここまで説明してきた、力の種類3つ、そして作用・反作用の法則を意識することで、物体に作用する力を正確に図示できるようになります。

具体的には次の手順を踏むと良いでしょう。

力の図示のPOINT

1. 物体同士を離して図を描く。
2. 場の力(重力)を描く。
3. 接点と作用・反作用の法則を意識して接触力を描く。
※注目する物体以外に働く力は省略しても良い。

物理は図が命、はじめに必ず図を描きます

その際前述の通り、物体同士を少し離して描くことで作用点が意識できるので良いと思います。

次に具体的に物体に働く力を考えていきますが、まずは場の力を考えましょう。

力学では基本的には重力を考えればOKです。

そして、場の力以外の力、つまり接触力を考えていきます。

その際、物体同士が接触しているところ(接点)に注目し、作用・反作用の法則を用いて力を調べていきます。

※作用・反作用の法則を用いると、実際には多くの力を考えることになりますが、注目している物体以外の力、例えば、物体が置かれている床に働く垂直抗力や、先ほどの我々が地球を引っ張る力などは無視しましょう。

以上のポイントを次の例題で確認しましょう。

力を図示し、運動方程式を正確に立てられるか、確認してみてください。

問題に挑戦

力を図示し、運動方程式を立式する例題

力を図示

聞かれているのは水平方向の力・運動方程式のみですが、物体に作用する力はすべて図示すべきです。

よって、垂直方向の力も図示します。

また練習のため、注目する物体以外に作用する力も含めてすべての力を描いてみます。

力を図示する手順に従い、まずは物体同士を離して描きます

すべての力を描くので、ひもを引く手や地球も描く必要があります。

非接触力である場の力は、本問では重力のみを考えます。

そして、物体同士の接点には(基本的には)力が働くことを意識して、作用・反作用の法則を用いて次々に力を図示していきます

例えば、物体が床を押す垂直抗力や、物体がひもを引く張力なども含めて、すべての力を図示すると、次の図のようになるでしょう。

作用・反作用の法則に従い、すべての力がペアになっていることに注意しましょう。

力を図示し、運動方程式を立式する例題の解答(力をすべて図示)

力を調べるのが苦手な人は、はじめから物体に働く力のみ、つまり問題を解くのに必要な力のみを考えようとしてしまいます。
でも作用・反作用の法則がしっかり理解できている人は、どんな力もペアになっていることを知っていて、働くすべての力が”見えた”上で、必要な力のみを抜き出して図示しているのです。

<補足>

ここでちょっとしたポイントですが、ひもの張力は両端同じ力になります。

理由は次の記事で簡単に解説しています。

ということで、ここから問題に必要な力のみを残して、不必要な力は削除しましょう。

具体的には、ひも、ひもを引く手、床、地球の運動には興味がないので、これらに作用する力は消してしまいます。

力を図示し、運動方程式を立式する例題の解答(必要な力のみを残した場合)

このようにスッキリしました。

では肝心の運動方程式を立てましょう。

運動方程式を立てる

運動方程式を立てるときには必ず正方向を決める必要があります

今回は左方向を正方向とするよう指示されているので問題ありませんが、指示がないときは物体が動くと予想される方向を正方向とすると簡単です

正方向はどの向きにとっても大丈夫です。
物体の運動方向と逆向きにとっても、速度が負になるだけですから。

正方向を決めたら、力を向きも含めてma = F」に代入して運動方程式の完成です。

くどいようですが、冒頭で紹介したこちらの記事でも説明した通り、運動方程式は加速度を求める式なので、「F = ma」ではなく「ma = F」です!!!

※ここで、加速度は未知数なので必ず正として、つまり正方向を向いているとして立式します

力を図示し、運動方程式を立式する例題の解答(運動方程式を立式)

以上のように、運動方程式を無事立てることができました。

簡単な問題ですが、作用・反作用の法則の使い方など、エッセンスは詰まっていたと思います。

まとめ

ここまでお疲れさまでした。

最後に運動方程式を立式する手順(力を調べる手順を含む)のポイントをまとめておきます。

運動方程式を立式する手順と力の図示のポイントのまとめ(1)

運動方程式を立式する手順と力の図示のポイントのまとめ(2)

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!