ガウスの法則の導出と使いどころ(円柱の例題で解説!)

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★☆

前回は電気力線について、基本的な事項を解説しました。

(本記事の前提となる内容なので、併せてご確認いただくと効果的です。)

今回はその続きとして、重要な法則である「ガウスの法則」を取り上げます。

この法則については、導出使い方どういうときに使うか)をセットで必ず押さえておくべきです。

前者についてはどこよりも丁寧に、後者については頻出の「円柱のつくる電場を求める問題」を用いて解説します。

それでは順に見ていきましょう!

スポンサーリンク

ガウスの法則とは

まずはじめにガウスの法則とは何か、簡単に説明します。

ガウスの法則は +Q [C] から出る(または -Q [C] に入る)電気力線の本数を教えてくれる法則です。

真空の誘電率 ε0(後述します)を用いると、電気力線の本数はごく簡単に表すことができ、Q/ε0 本となります。

ガウスの法則と真空の誘電率

ガウスの法則のすごい点は、帯電体の形状によらず成立するという点です。

つまり物体が点電荷でも球でも円柱でも立方体でも、大きくても小さくても、+Q [C] を帯びていれば、出ていく電気力線の本数は Q/ε0 本 で共通です。

真空の誘電率

ここで ε0 は真空の誘電率と呼ばれ、クーロンの法則の比例定数 k と「k = 1/4πε0」の関係にあります。

この式は覚える他ありませんので、暗記マストです。

なお、上図中に単位も書いておきましたのでご確認ください。

(上の関係式より、クーロンの法則の比例定数 k の単位と分母分子が逆になります。また、ファラド [F] を用いた場合も添えておきました。)

ガウスの法則の導出

それではガウスの法則を導出してみます。

高校物理の範囲では +Q [C] が点電荷の場合の導出をしっかり押さえておきましょう。

次の図をご覧ください。

+Q [C] の点電荷から出る電気力線の総本数を計算します。

ガウスの法則の導出

まずは点電荷が中心に位置するように、半径 r [m] の球面で点電荷を覆います。

※何故球面を選ぶか、簡単に説明します。

点電荷からの電気力線は四方八方あらゆる方向に均一に出ると考えられるので、

・閉じた球面で覆ってしまえば、すべての電気力線をもれなくカバーできます。

・球面上の各点は点電荷から等しい距離(半径 r [m])にあるので、どの点でも電場の強さ、つまり電気力線が垂直に貫く本数は等しくなります。

(球の中心を出る電気力線は必ず球面を垂直に貫きます。切り口の円を考えてみてください。半径(方向)は接線と垂直ですよね。)

以上のことから、点電荷を球面で囲うとうまく計算できます。

<メモ>
このようにガウスの法則を使うときは、対象となる帯電体を閉曲面(外部に対して閉じている面)で囲います。
後の例題でも強調します。

次に球面上の1点に注目し、その位置の電場の強さを求めます。

電場を求めるには「+1 [C] の点電荷を置いて受ける力を調べる」のが定石でした。

(次の記事で復習できます。)

点電荷同士なのでクーロンの法則が適用可能で、図中の式のように Er [N/C] を求めることができます。

(2つの点電荷は同符号なので斥力(反発力)が働き、電場の向きは外向きになります。)

電場の強さが分かると、電気力線の定義より、その位置の単位面積を垂直に貫く電気力線の本数にそのまま変換できます。

つまり球面上の1点の単位面積を垂直に貫く電気力線は Er 本となります。

求めたいのは球面全体を垂直に貫く電気力線の総本数ですから、最後に球面全体の面積を Er(単位面積当たりの本数)にかければフィニッシュです。

前述の真空の誘電率 ε0 を使えばシンプルな形にできます。

以上がガウスの法則の導出です。

そのまま問題として出題されることもあり得ますので、自力でスラスラと導けるようにしておくべきだと思います。

【発展だけど重要】ガウスの法則はクーロンの法則の積分形

(少し発展的な内容なので参考程度に読んでください。)

実はガウスの法則はクーロンの法則の親戚みたいなものです。

クーロンの法則は点電荷同士の間でのみ成り立つ式で、この法則を使うことで点電荷がつくる電気力線の本数(電場の強さ)を求めることができます

(先ほど紹介した次の記事の例題でも解説しました。)

一方、前述のとおりガウスの法則はどんな形状の帯電体についても電気力線の本数を求めることができます

つまりクーロンの法則を拡張したのがガウスの法則なのです。

もっと言えば、点で議論するクーロンの法則を足し合わせることで面で議論するガウスの法則が導かれるので、ガウスの法則はクーロンの法則の積分形であると言えます。

先の導出はまさに積分計算そのものです。

はじめに球面上の点電荷という微小な範囲を考え、クーロンの法則でその点における電気力線の本数を計算しました。

そしてそれを球面全体にわたって足し合わせることで、電気力線の総本数を求めたのですから。

「積分」と言うと難しく聞こえますが、以上の考え方を持っておくと、ガウスの法則に対する理解が深まると思います。

また、次のガウス法則の使いどころも見えてくるはずです。

ガウスの法則の使いどころ

ガウスの法則を使うのはズバリ、「クーロンの法則が使えないとき」です。

クーロンの法則は点電荷同士限定の法則でしたので、「点電荷同士でないとき」とも言えます。

次の例題で実際のケースを見てみましょう。

問題に挑戦!

ガウスの法則を用いる問題で特に頻出なのは、帯電した円柱のつくる電場を求める問題です。

是非実際に紙に図を描いて状況をイメージして考えてみてください。

もちろん解答を読んで理解するだけでも十分効果はあります。

問題

鉛直方向に置かれた無限に長い円柱がある。
この円柱に単位長さあたり ρ [C/m] の電荷を与えた。
この棒から水平方向に距離 r [m] だけ離れた位置での電場の強さを求めよ。
ただし真空の誘電率を ε0 [F/m] とする。

<解答>

導出のところでもちょろっと述べましたが、ガウスの法則を使うときは対称の帯電体を閉曲面で囲います

本問の場合、半径 r [m] 、高さ h [m] の円柱(円柱②)を閉曲面として採用します。

帯電した円柱(円柱①)に生じる電場は、上から見れば放射状で、かつ鉛直成分は存在しないと考えられるからです。

※電場の鉛直成分がないので、円柱②を貫く電気力線は、すべて円柱②の側面を貫きます。

<メモ>
このように帯電体の形から電場の生じ方を予想し、閉曲面として適切な立体を選べるかどうかが肝です。

次に、この閉曲面内にある電荷(電気量)の総量を求め、ガウスの法則を用いて電気力線の総本数を計算します。

あとはそれを円柱②の側面積で割れば、側面の任意の位置における単位面積を垂直に貫く電気力線の本数、つまりその位置の電場の強さを求めることができます。

ガウスの法則の例題(円柱の電場を求める)の解答

閉曲面を設定するというガウスの法則のポイントと、電気力線の定義をしっかり理解していれば、それほど難しい問題ではないですよね。

まとめ

ここまでかなり重厚な内容だったと思います(途中、回りくどい説明もあったかもしれません)。

お疲れ様でした、と同時に読んでいただきありがとうございました。

今回も単語カードに要点をまとめておきます。

ガウスの法則とその使いどころのまとめ(1)

ガウスの法則とその使いどころのまとめ(2)

今回は以上となります。

今後とも当ブログをよろしくお願いします!