熱容量と比熱は単位を覚えておけば公式は不要!

難易度:★☆☆☆
頻出度:★★★☆

今回は熱力学で出てくる重要な物理量である熱容量比熱について解説します。

公式ばかり強調されがちですが、もっと大事なポイントをお伝えしたいと思います。

定義や両者の違いなどもじっくり解説しますので、この記事を読んでいただければ熱容量と比熱についてはバッチリです!

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熱容量

まずは熱容量について解説します。

英語では heat capacity と言いますので、普通は記号 C(大文字)で書きます。

理系単語としての capacity は基本的に「容量」と訳します。
覚えておくと(特に大学入学後に)どこかで必ず訳に立ちますよ!

熱容量は物体の温度を 1 K 上げるのに必要な熱量 [J] のことで、この定義より単位は [J/K]となります。

後ほどさらに詳しく説明しますが、この単位を正確に覚えておくことが最大のポイントです。

比熱

一方、比熱は英語で specific heat capacity(または単に specific heat)と言い、普通は記号 c(小文字)で書きます。

こちらは 1 kg の物体の温度を 1 K 上げるのに必要な熱量 [J] のことで、この定義より単位は [J/kg・K]となります。

これまた単位を覚えることが何よりも大事です。

なお高校物理の範囲では 1 g あたりとする場合も多いですが、一般には kg を用います。

次のメモ×2も参考にお読みください。

<メモ:SI単位系>
一般に物理量の単位にはSI単位系(国際単位系)を用います。
この単位系では長さの単位にはメートル(m)、質量の単位にはキログラム(kg)、時間の単位には秒(s)を用います。

<メモ:MKS(A)単位系>
また基本単位としてメートル(m)、キログラム(kg)、秒(s)を用いる単位系をMKS単位系と言います。
そしてこれらに加えて電流の単位にアンペア(A)を用いる単位系をMKSA単位系と言います。
それぞれ頭文字を取っているので覚えやすい名前かと思いきや、順番が分からなくなりがちです。。。
SI単位系はMKSA単位系に温度の単位ケルビン(K)などを加えたものになっています。

熱量の計算方法

熱容量と比熱を用いると物体が得た、もしくは失った熱量を計算できます。

次の図をご覧になりながら後の説明を読んでいただきたいと思います。

熱容量と比熱は単位を覚えれば公式は不要(やり取りする熱量の計算方法)

公式は暗記不要!

この2つの式は教科書や参考書に公式として載っているかもしれません。

私の高校の物理の先生も「『きゅーいこーるしーでるたてぃー、きゅーいこーるえむしーでるたてぃー』と念じて覚えるべし」と言っていた記憶がありますが、これらの公式は覚える必要ありません

(たしかに意外と念じやすい公式ですが。。。)

式の右辺を単位に注目してご覧ください。

当ブログでいつも強調しているように、単位同士も計算(約分)できます

熱容量と比熱の単位さえ覚えておけば、あと何をかければ熱量の単位 [J] になるかが分かりますよね。

そういう意味で、単位さえしっかり覚えておけば十分なのです。

受験生は覚えることが山ほどあります。
覚えなくてもいい公式は覚えず、効率的に勉強していきましょう!

熱容量と比熱の関係

上式からも分かる通り、熱容量と比熱の関係は「C = mc」です。

(もちろんこれも単位から明らかなので覚える必要なしです。)

しかしこの関係が成り立つのは、対象が一様などこをとっても組成が同じ物質である場合のみです。

現実問題、実際の実験で使う容器などが1つの物質のみからできていることは少ないので、そういう意味では熱容量の方が使いやすい物理量であると言えます。

また熱容量は質量を内包しているので、複数の物質をまとめて1つの物質と考えるとき、そのまま和をとることが可能です。

次回解説する熱量保存の法則の例題でもこの点を確認していただければ幸いです。

(本記事最下部に次回記事へのリンクがあります。)

【注意】Qの符号

ここで1点注意事項があります。

上式右辺に ΔT(温度変化)がありますが、物理の Δ は必ず「変化の後-前」で計算します。

なので温度が下がる場合は ΔT はマイナスになり、結果として左辺の Q もマイナスになります。

Qの符号は熱の授受の向きを表します。

この場合なら、Q がプラスなら熱を受け取ったということ、Q がマイナスなら熱を放出したということです。

ただ実際に計算問題を解くときは物体間でやり取りした熱量の大きさを考える(絶対値で考える)ことも多いです。

温度変化というより温度差を用いるイメージです。

問題ごとに臨機応変に対応すると良いでしょう。

この点についても、次回の例題でご確認いただければと思います。

問題に挑戦!

それでは例題を解いて、ここまでの内容を確認してみましょう。

熱容量・比熱と言えば熱量保存の法則と絡める問題が頻出ですが、それは次回解説するとして、今回は両者の定義と単位を確認する問題を用意しました。

問題

質量 200 g の金属球に 1 kJ の熱量を与えたところ、温度が 20 ℃ 上昇した。
この金属球の熱容量と比熱を求めよ。

<解答>

求めたい熱容量と比熱の単位に注目して、その単位をつくるように他の物理量を乗除し、式を立てれば良いでしょう。

(今回は”除”だけですが。)

温度は ℃ で与えられていますが、セルシウス温度も絶対温度も目盛りの幅は同じなのでそのまま K に変換できます。

両温度の関係については次の記事もご参照ください。

また、金属球ということで一様な(単一の)金属でできていると考えられるので、前述の熱容量と比熱の関係式が使えます。

熱容量と比熱を求める例題の解答

※ kJ → J、g → kg の変換に気を付けましょう。

熱容量と比熱のまとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。

今回のまとめです。

熱容量も比熱もその単位さえ覚えておけば、やり取りする熱量を計算できます。

ということで両者の単位(だけ)を必ず押さえておきましょう!

熱容量と比熱のポイント(単位)のまとめ(1)

熱容量と比熱のポイント(単位)のまとめ(2)

今回は以上となります。

上で予告したとおり、次回は今回の続きとして「熱量保存の法則」を解説します。

次回も是非、よろしくお願いします!