【簡単】ヘンリーの法則で問題を解くコツは体積ではなくモルで考えること

難易度:★★★☆
頻出度:★★☆☆

今回のメインテーマはヘンリーの法則です。

「気体」は苦手意識を持ちやすい分野ですが、その中でもヘンリーの法則が絡む問題は特にややこしくてやっかいです。

でも安心してください。

ちょっとしたポイントさえ押さえてしまえば、混乱せずスラスラ解けるようになります。

いつもどおり図・例題・まとめ等を総動員してじっくり解説していきますね。

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気体の溶解度

まずは前提知識として、(液体への)気体の溶解度が温度や圧力によってどのように変化するかを説明します。

特に温度依存性はよく聞かれるので必ず押さえておきましょう。

温度依存性

一般に高温ほどよく溶ける固体とは異なり、気体は高温ほど溶けにくくなります

温度が高いほど気体分子の熱運動が激しくなり、液体の表面から飛び出しやすくなるからです。

(ちょっと意外な感じがするかもしれませんが、だからこそ頻出なんです。)

<身近な例>
封を切った炭酸飲料を常温で置いておくと、冷蔵庫で保存するよりも早く炭酸が抜けてしまいます。

圧力依存性

気体は高圧ほど溶媒によく溶けます

液面と接触している気体は圧力が大きいほど液面に押さえつけられるからです。

こちらはイメージどおりだと思います。

以上、基本的ですがけっこう重要な知識なので単語カードにもまとめておきますね。

気体の溶解度の温度・圧力依存性のまとめ(1)

気体の溶解度の温度・圧力依存性のまとめ(2)

ちなみに固体の溶解度と頻出の計算問題の解き方については次の記事で解説しています。

お時間がある方は是非併せてご確認ください。

ヘンリーの法則

さて、この気体の溶解度の圧力依存性を法則化したのがヘンリーの法則です。

次の図で概要を説明します。

ヘンリーの法則の概要と計算上のポイント

はじめに、ヘンリーの法則は難溶性気体(溶媒に溶けにくい気体)について成り立つ法則であることに注意しましょう。

例えば溶媒が水の場合、水に溶けにくい二酸化炭素や酸素などについては成り立ちますが、水に溶けやすいアンモニアなどに関しては成り立ちません。

そしてヘンリーの法則の言わんとするところは「温度一定下では一定量の溶媒に溶ける気体の量は圧力に比例する。」とかなりシンプルなものです。

直感的にも理解しやすいですが、この法則を一気にやっかいなものに変えてしまう要因があるのです。

体積で考えてはダメ

それは気体の体積の測り方です。

ヘンリーの法則によれば圧力と溶ける気体の体積は比例します。

しかし、それは溶けている気体を取り出して統一された(共通の)圧力下(例えば標準状態など)で比較した場合であり、それぞれの圧力下で測定された体積は等しくなります。

上図の例でご確認ください。

圧力を2倍にすればヘンリーの法則により溶ける気体の量は2倍になりますが、それを測定する際の圧力も2倍になっているので、2倍 × 1/2倍 で、結局体積は変わらなくなります。

後半部分は温度一定で圧力と体積が反比例するボイルの法則ですね。

不変のモルで考える

このように体積は測定する圧力によって変動するので当てにしてはいけません。

では測定する圧力によって変わらないものは何か、ズバリ「モル物質量」です。

化学計算の主人公であるモルがここでも大活躍します。

まずはモルで考えて、後で体積に変換するというスタンスで解き進めるのが良いでしょう。

なお、モルから体積への変換には状態方程式を使うのがオススメです。

(後の例題でも状態方程式を使って変換してみます。)

<メモ>
体積で考えると混乱してミスをしがちなので、出題者側も必ずと言っていいほど体積を話題にしてきます。
そんないじわるに惑わされず、いつもモルで考える習慣を是非つけてください。

溶媒の量に注意!

最後に、これは厳密にはヘンリーの法則には含まれませんが、問題を解く際は溶かす側の溶媒(液体)の量にも常に注意しておくべきです。

溶媒の量が増えれば比例して溶ける気体の量も増えることは当たり前すぎて意外と忘れがちです。

溶媒の量の変化は問題文でしっかりチェックし、解答の図中に書き込むなどして考慮するのを忘れないようにしましょう。

問題に挑戦!

それでは実際にヘンリーの法則を使って解く問題を解説したいと思います。

一度ご自身で解答をつくっていただき、答え合わせをしながら読んでいただくとより効果的です。

注意書きはしていませんが、理想気体として計算してください。

ヘンリーの法則を用いる例題

<解答>

ヘンリーの法則を用いる例題の解答(モルで考えて体積に変換する)

理系科目は図が命なのでまずは図を描いて問題の状況をイメージします。

温度一定(0℃)で圧力を変化させて(難溶性)気体の溶解度を考える問題ですから、「ヘンリーの法則を使うのだな」と分かります。

ヘンリーの法則のコツは「モルで考える」ことでした。

本問でも体積を与えられ、また聞かれていますが、「まずはモル!」ということで変化前後のモル、n1 [mol] と n2 [mol] を自分で設定します。

もちろん求めたい変化後の体積(標準状態換算)も V2 [mL] と文字で置いておきます。

モルで考えればヘンリーの法則はシンプルで、本問では圧力が4倍なので溶ける気体のモルも4倍になります。

併せて、溶かす側の水の量(体積)が半分になっているので1/2倍をかけることを忘れてはいけません。

総じて溶ける気体のモルは2倍となります。

次にモルを体積に変換します。

11.2 mL という数字を見ると「22.4 L/mol を使うのでは」と考えてしまいそうですが、実はこれはミスリードです。

本問では、また多くのケースにおいて、前述のとおり(理想気体の)状態方程式を使って変換するのが簡単です。

変化の前後で状態方程式を立てますが、特に変化後には注意してください。

標準状態換算の体積を聞かれていますので、圧力は 1.0×10の5乗 Pa とします。

<補足>
気体定数 R は与えられていませんが、後で消えるので自分で定めておきます。
その際単位は状態方程式を満たすように(両辺で単位が一致するように)決めます。

<メモ>
標準状態換算は少しイメージしづらいかもしれません。
液体に溶けている気体を取り出して標準状態のところに持っていき体積を測る、と考えてみてください。

最後にヘンリーの法則で得られた式と2つの状態方程式を見比べて、どうすれば V2 [mL] を求められるか考えます。

②式を①式で割ってヘンリーの法則の式を適用すれば V2 [mL] 以外の文字は消えて無事終了です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

最後に今回のテーマをまとめておきましょう。

ヘンリーの法則はモルで!」、これだけで混乱せずに済みますよ!

ヘンリーの法則の使い方のまとめ(1)

ヘンリーの法則の使い方のまとめ(2)

今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!