ヨウ素滴定は2パターン!見分け方と解法のポイントを解説!

難易度:★★☆☆
頻出度:★★☆☆

今回は酸化還元滴定の一種であるヨウ素滴定について詳しく解説したいと思います。

酸化還元滴定と言えば過マンガン酸滴定が最も有名かつ頻出で、マイナーなヨウ素滴定は初見だと少し難しく見えるかもしれません。

でもご安心ください。

一度しっかり学習しておけば、大問まるごと十分に満点が狙えます。

今回も、基本事項の説明、例題の解説、覚えるべきポイントのまとめ、と進めていきます。

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ヨウ素滴定には2パターンある

いきなりですがヨウ素滴定には2パターンあります。

ヨウ素酸化滴定ヨージメトリー)とヨウ素還元滴定ヨードメトリー)です。

名前を覚える必要はありませんが、2つのパターンがあること、そしてそれぞれの概要は知っておくべきです。

どちらも2つのステップに分かれる滴定であり、共通している部分も多いので混同しないように注意しましょう。

順に説明していきますね。

ヨウ素酸化滴定(ヨージメトリー)

まずはヨウ素酸化滴定から見ていきましょう。

次の図をご覧ください。

ヨウ素酸化滴定(ヨージメトリー)の概要とポイント

ヨウ素酸化滴定では還元剤を定量することができます。

まず、多めに用意したヨウ素溶液(酸化剤)に定量したい還元剤を加え、酸化還元反応を起こします。

これが Step.1 です。

還元剤はすべて反応してなくなりますが、ヨウ素(酸化剤)はある程度残ります。

次に Step.2 として、残ったヨウ素(酸化剤)にチオ硫酸ナトリウム水溶液(還元剤)を滴定します。

このとき指示薬としてはデンプン水溶液を用います。

デンプンとヨウ素は反応すると青紫色に呈色する(ヨウ素デンプン反応)ので、滴定の終点はヨウ素がすべて消失し、溶液の色が青紫色から無色に変わったときです。

<メモ>
ヨウ素デンプン反応は両成分に対して非常に鋭敏な呈色反応で、滴定の終点が分かりやすいです。
デンプン分子のらせん構造の中にヨウ素分子が取りこまれることで呈色すると言われています。

さて、ここからが計算上のポイントです。

はじめに用意したヨウ素の総量(既知)は、Step.1 で反応したヨウ素の量と、Step.2 で反応したヨウ素の量の和になります。

各ステップの酸化還元の反応式より、前者は調べたい還元剤の量(未知)、後者は滴下したチオ硫酸ナトリウムの量(既知)と関連付けられるので、Step.1 の還元剤の量を求めることができます。

【補足】逆滴定同様、難しくない!

このようにヨウ素酸化滴定では、還元剤のチオ硫酸ナトリウム水溶液で(間接的に)Step.1 の還元剤を定量します。

これは中和の分野で学習する逆滴定と同じ原理です。

逆滴定については次の記事を参考にしてください。

この記事で、逆滴定では問題文に出てくる酸と塩基をチェックすることが大切だと述べました。

同様に、ヨウ素酸化滴定でも問題文に出てくる酸化剤還元剤をチェックすることが大切です。

それさえ意識すれば、案外簡単に解けてしまいますよ!

ヨウ素還元滴定(ヨードメトリー)

続いてヨウ素還元滴定です。

次の図をご覧ください。

ヨウ素還元滴定(ヨードメトリー)の概要とポイント

ヨウ素還元滴定では酸化剤を定量することができます。

まず、過剰に用意したヨウ化カリウム水溶液(還元剤)に定量したい酸化剤を加え、酸化還元反応を起こします。

この反応でヨウ化カリウムは酸化され、ヨウ素を生じます。

これが Step.1 です。

定量したい酸化剤はすべて反応してなくなりますが、ヨウ化カリウム(還元剤)は残ります。

次に Step.2 として、Step.1 の後の溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液(還元剤)を滴定します。

チオ硫酸ナトリウムは Step.1 で生成したヨウ素(酸化剤)と反応します。

ここで、Step.1 で未反応の(残りの)ヨウ化カリウムは反応に関与しません。

指示薬はヨウ素酸化滴定の場合と同様にデンプン水溶液を用います。

終点はやはり、溶液の色が青紫色から無色に変わったときです。

ヨウ素還元滴定のポイントはシンプルで、Step.1 で定量したい酸化剤と反応して生じたヨウ素が、Step.2 ですべて反応するということです。

よってヨウ素を介して、Step.2 で用いたチオ硫酸ナトリウム水溶液の量から、Step.1 で用いた定量したい酸化剤の量が求められます。

こちらのパターンでも、何が酸化剤で何が還元剤かをしっかり確認しておくことが大切です。

問題に挑戦!

それではヨウ素滴定の例題を示します。

お時間がある方は、是非実際に手を動かして解いてみてください。

まずは問題文を読んでどちらのパターンなのかを確認しましょう。

ヨウ素滴定の例題

<解答>

Step.1 でヨウ化カリウム水溶液を用いているので、これはヨウ素還元滴定の方です。

過酸化水素は酸化剤にも還元剤にもなる要注意な化合物ですが、ヨウ化カリウム(還元剤)と反応するので今回は酸化剤として用いられています。

(1)、(2) は溶液の色に関する問題です。

過酸化水素水を加えた後はヨウ素が生成していますので、溶液は赤褐色となります。

(ちなみにヨウ化カリウム水溶液は無色ですが、長時間空気中で放置すると徐々に酸化されてヨウ素を生じ、黄色がかってきます。)

(2)は定番の記述式問題で、前述のとおりヨウ素が消失してヨウ素デンプン反応が起こらなくなったときが終点なので、「溶液の色が青紫色から無色に変わったとき」を終点と判断します。

(3)がいよいよ計算問題です。

まずは Step.1 と Step.2 の酸化還元反応の化学反応式を書きましょう。

半反応式→イオン反応式→化学反応式の順につくります。

※作り方の詳細、入試に出る半反応式の一覧については次の記事をご参照ください。

ここで、Step.1 はその場でつくる類の反応式ですが、Step.2 の反応式は覚えてしまうのが得策です。

何故ならヨウ素酸化滴定でもヨウ素還元滴定でも、Step.2 はヨウ素とチオ硫酸ナトリウムの反応で共通だからです。

また、少し複雑なのでチオ硫酸ナトリウムの半反応式が問題文で与えられることも多いです。

ヨウ素滴定の例題の解答

次に反応式の係数比を用いて、Step.1 の過酸化水素と Step.2 のチオ硫酸ナトリウムのモル比を求めます。

Step.1 で生成したヨウ素がそのまままるごと Step.2 で反応するので、下図のようにヨウ素の係数を合わせるようにします。

後はこのモル比を用いてチオ硫酸ナトリウムのモルから過酸化水素のモルを求め、それを過酸化水素水の体積で割ればモル濃度が求まってフィニッシュです。

当ブログでいつも強調しているように、単位を意識して式を立てましょう。

ヨウ素滴定の例題の解答の続き

ヨウ素滴定のまとめ

ここまでお疲れさまでした。

最後に今回のテーマのポイントのまとめです。

ヨウ素滴定には2つのパターンがありますが、ヨウ素酸化滴定ではヨウ素溶液(酸化剤を、ヨウ素還元滴定ではヨウ化カリウム水溶液(還元剤)を用意するので、簡単に見分けられます。

Step.2 は共通で、ヨウ素(酸化剤)とチオ硫酸ナトリウム(還元剤)の反応です。

半反応式からつくっても良いですが、反応式を丸ごと暗記しておくとスムーズに問題が解けます。

指示薬はデンプン水溶液で、滴定の終点は溶液の色が青紫色から無色に変わるときです。

以上のことを単語カードにまとめておきます。

ヨウ素滴定のポイントのまとめ(1)

ヨウ素滴定のポイントのまとめ(2)

今回は以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございました!