金属のイオン化傾向のまとめ(水や酸との反応性や不動態など)

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★☆

今回は金属のイオン化傾向を取り上げます。

どうしても暗記が必要になる項目ですので、後ほど紹介する単語カードのまとめなどを適宜ご活用いただければと思います。

最後に頻出問題とその解答も用意していますので、是非最後までお付き合いください。

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イオン化傾向とは

金属のイオン化傾向はその名のとおり、「金属がイオンになる傾向」を表します。

金属イオンは陽イオンですから、少し言い換えるとイオン化傾向とは「金属が陽イオンになる傾向」のことです。

イオン化傾向が大きいほど陽イオンになりやすい」と言えます。

ここで、金属が陽イオンになるときには電子が放出されますが、電子が放出される反応は酸化反応です。

なので「イオン化傾向が大きい = 酸化されやすい」とも言うことができます。

さらに言えば「イオン化傾向が大きい = 相手を還元する力が強い(還元剤として強い)」とも言えます。

イオン化列

イオン化傾向に沿って代表的な金属を並べたものをイオン化列と言います。

(イオン化列の意味でイオン化傾向が用いられることも多いです。)

高校化学で学ぶイオン化列は次のとおりです。

なお、はじめの Li が抜けている教科書や参考書もあるかと思いますが、一応入れて覚えておくのが無難です。

また、水素は金属ではありませんが、後述する酸との反応性を見るために仲間に入れておきます。

イオン化傾向(イオン化列)

Li K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb (H2) Cu Hg Ag Pt Au

<メモ>
イオン化傾向(イオン化列)の覚え方はいろいろありますが、「かそうかな…」が有名ですね。
ただこれだと Li が抜け落ちてしまいますので、そこだけ注意して追加しておいてください。

前述のとおり、イオン化傾向が大きい金属ほど陽イオンになりやすく反応性が高いと言えます。

各金属がどのような反応性を持つかはイオン化傾向に沿って体系的に整理されています。

必須なのは「水との反応性」と「酸との反応性」で、さらに上を目指すなら「乾燥空気との反応性」と「自然界での産出状態」も押さえておきたいところです。

それぞれ順に説明していきます。

少し長くなりますがご容赦ください。

なお後ほど特に重要でテストによく出る、酸との反応性を単語カードにまとめます。

水との反応性

まずは水との反応性を見ていきましょう。

なお、金属と水との反応で発生する気体は水素で共通です。

冷水(常温の水)と反応

LiKCaNa は反応性が非常に高く、冷水(常温の水)と反応し水素を発生します。

熱水と反応

Mg は熱水と反応し水素を発生します。

高温の水蒸気と反応

AlZnFe は高温の水蒸気と反応して水素を発生します。

これ以降の金属は水とは反応しません。

酸との反応性

金属と酸の反応は特に重要でテストによく出ます。

要注意の不動態も登場しますよ。

希酸と反応

イオン化傾向が水素より大きい金属は希酸(希塩酸希硫酸)と反応し水素を発生します。

水素よりもイオン化傾向が大きいということは、希酸中の水素イオンよりも陽イオンになりやすいということです。

よって金属は電子を放出して陽イオンになり、水素イオンは電子を受け取って水素となります。

<注意>

Pb は希塩酸、希硫酸とは反応しません。

それぞれ、表面に不溶性の PbCl2PbSO4 が形成されるからです(数字は下付き文字です)。

PbSO4 は鉛蓄電池で登場しましたね。

酸化力のある酸と反応

イオン化傾向が水素よりも小さい金属(Pt、Au を除く)は希酸とは反応しませんが、酸化力のある酸希硝酸濃硝酸熱濃硫酸)とは反応します。

希硝酸との反応では一酸化窒素が、濃硝酸との反応では二酸化窒素が、熱濃硫酸との反応では二酸化硫黄が発生します。

酸化力のある酸との反応は、希酸との反応ほど簡単に反応式が書けません。

複雑な酸化還元反応なので、酸化剤(酸化力のある酸)と還元剤(金属)の半反応式を書いて組み合わせて全体の反応式をつくります。

後の問題演習でも確認してください。

また次の記事で入試必須の半反応式を一覧にしていますので、こちらも参考にしてください。

<注意>

AlFeNi濃硝酸熱濃硫酸を加えると表面に緻密な酸化被膜を形成し反応をストップしてしまいます。

この状態を不動態と言います。

王水と反応

酸化力のある酸とも反応しない PtAu を溶かすには、酸化力最強の王水と反応させます。

王水は濃塩酸濃硝酸3:1 の割合で混合した酸です。

王水との反応式は非常に複雑なので覚える必要はないでしょう。

【参考】乾燥空気との反応性

乾燥空気との反応性はさびやすさを表します。

Li から Na まではすみやかに内部まで酸化されるのでさびやすいと言えます。

Mg から Cu までは常温で徐々に酸化されます。

また、その際に表面に酸化被膜を生じます。

Hg から Au までは乾燥空気で酸化されません。

つまり(ほとんど)さびません。

【参考】自然界での産出状態

何度も言って恐縮ですが、イオン化傾向が大きいほど陽イオンになりやすい、つまり反応性が大きいので、自然界に単体として存在することが難しくなります。

Li から Pb までは酸化物や塩化物といった化合物の形でのみ自然界から産出します。

Cu から Ag は化合物または単体として自然界に存在します。

Pt と Au は単体として自然界に存在します。

<メモ>
化合物で産出する金属を単体にする操作を製錬と言います。
有名な金属の製錬として銅、鉄、アルミニウムの工業的製法があります。
お時間がある方は次の3記事でご確認いただければと思います。

まとめ

ここでイオン化傾向のポイントをまとめておきます。

最重要はやはり酸との反応性です。

反応式の作成や不動態など問題にされる重要事項が盛りだくさんですから。

とりあえずはよく問われるところだけをピンポイントで押さえておくのが有効です。

なるべく暗記項目は減らした方が良いですからね。

次の単語カードのとおりまとめておきます。

金属のイオン化傾向(酸との反応性)のまとめ(1)

金属のイオン化傾向(酸との反応性)のまとめ(2)

問題に挑戦!

それではここまでの知識を使って、よくある問題を解いてみましょう。

復習用としてもご活用ください。

問題

イオン化傾向に関する次の各問いに答えよ。
1. アルミウニウムと塩酸の反応式を書け。
2. アルミニウムに濃硝酸を加えたとき、表面に形成される物質は何か。
3. 銅と希硝酸の反応式を書け。
4. 銅と濃硝酸の反応式を書け。

<解答・解説>

(係数を除く反応式中の数字は下付き文字です。)

1.

希酸とイオン化傾向の大きい酸との反応は反応式が簡単です。

水素が発生するのでした。

2Al+6HCl→2AlCl3+3H2

2.

不動態の正体は緻密な酸化被膜でした。

つまりアルミニウムの酸化物、酸化アルミニウムが答えです。

3.

半反応式については上でリンクを示した記事をご確認ください(4番も同様)。

希硝酸の場合は一酸化窒素が発生するのでした。

3Cu+8HNO3→3Cu(NO3)2+4H2O+2NO↑

4.

濃硝酸の場合は二酸化窒素が発生するのでした。

3番と4番の反応式は非常に頻出なので、何度も練習して書けるようにしておきましょう。

Cu+4HNO3→Cu(NO3)2+2H2O+2NO2↑

全問正解できたでしょうか。

今回は以上となります。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!