同位体とは。同素体との違いから存在比・原子量の計算問題まで。

難易度:★☆☆☆
頻出度:★★☆☆

今回は化学の同位体についてじっくり解説します。

序盤の序盤に出てくる基礎的事項ですが、細かいところまで理解しておきたいところです。

特に「原子の(各同位体の)」原子量つまり相対質量から、「元素の」原子量を求める過程は非常に重要です。

この文章がすでにややこしいように、この過程は意外と奥が深く定着率が低い印象なので、じっくり読んで理解を深めていただければ幸いです。

詳しくは後の「同位体の存在比と元素の原子量」のセクションをご覧ください。

それでは今回もぜひ最後まで、よろしくお願いします。

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同位体とは

原子番号が同じ、つまり陽子の数が同じ中性子の数が異なる原子同士を互いに同位体と呼びます。

陽子の数と中性子の数の和を質量数と言うので、同位体同士は質量数が異なる、つまり質量(おもさ)が異なるとも言えます。

また原子番号が同じということは元素の種類が同じということですから、同位体同士の化学的性質はほぼ同じです。

<メモ>
同位体のことをアイソトープ(isotope)とも言います。
また、放射能(原子核が放射線を放出して崩壊し、別の原子になる性質)をもつ同位体を放射性同位体(ラジオアイソトープ)、放射能をもたない同位体を安定同位体(ステイブルアイソトープ)と言います。

同位体と同素体の違い

同位体と似た言葉に同素体がありますが、両者は全くの別物なのでしっかりと区別しておく必要があります。

同素体は同じ元素の単体で、互いに性質が異なるもののことです。

原子の配列の仕方や構造が違うために性質に差がでます。

同素体では硫黄、炭素、酸素、リンのスコップ(SCOP)が有名ですね。

同位体は原子同士の話で同素体は単体同士の話なので、同素体の方がスケールが大きい、と漠然と理解しておくのもアリだと思います。

同位体の存在比と元素の原子量

一般に各元素の同位体は、元素ごとに決まった存在比で天然に存在します。

例えば塩素に関して言えば、質量数35の塩素原子は約75%、質量数37の塩素原子は約25%の割合で天然に存在します。

この同位体の存在比を用いることで「元素の」原子量を決定します。

この流れが大事なので、詳しく具体的に説明したいと思います。

少し表現がまどろっこしいところがあるかもしれませんが、正確さのためですのでお許しください。

まず、原子量には2種類あることに注意しましょう。

「原子の(各同位体の)」原子量「元素の」原子量です。

以下の説明では、どちらの意味で原子量と言っているか随時強調しながら説明しますので、是非使い分けを意識しながら読んでいただければと思います。

原子の質量はものすごく小さな値なので、整数値の基準を設けて、それと比較した相対的な値で取り扱うのが簡単です。

そこでまず質量数12の炭素原子の質量(1.993×10^-23 g)を12とし、これを基準として1つ1つの原子(同位体も含めて)の相対質量を求めます。

これが「原子の(各同位体の)」原子量です。

例えば質量数が35の塩素原子の質量は 5.808×10^-23 g なので、相対質量は 12×5.808/1.993 ≒ 35 と求められます。

これが質量数35の塩素「原子の」原子量です。

このように質量数12の炭素原子を基準にとることで、各原子の質量数と原子量(相対質量)はほぼ一致します。

次に元素ごとに各同位体の相対質量(つまり「原子の(各同位体の)」原子量)を、各同位体の存在比を考慮して平均します。

こうして求められるのが「元素の」原子量です。

例えば塩素には質量数35の塩素原子と質量数37の塩素原子という2つの同位体が存在するので、それぞれの同位体の存在比というおもみを考慮して、これら「原子の(各同位体の)」原子量の平均を求めます。

そうして求められるのが塩素「元素の」原子量です。

次の有名な例題で実際に塩素元素の原子量を求めてみたいと思います。

問題に挑戦!

ということで「元素の」原子量を求める例題とその解答をお示しします。

原子量を求める問題ではこの塩素のパターンが超定番です。

問題

天然に存在する塩素の同位体は相対質量35(存在比75%)と相対質量37(存在比25%)である。
(1)相対質量35の塩素のみからなる塩素分子の存在割合を分数で求めよ。
(2)塩素の原子量を小数点以下1桁で求めよ。

<解答>

同位体の例題の解答

文章で少し補足しておきます。

(1)は数学の確率の問題です。

塩素分子は2つの塩素原子から成ります。

存在比が与えられているので、1つ目の塩素原子が相対質量35である確率 3/4 に、2つ目の塩素原子が相対質量35である確率 3/4 を掛ければよく、9/16 が答えです。

なお「35-37」の塩素分子と「37-35」の塩素分子は確率の計算途中では区別します(確率の合計は1になるはずですよね)が、実際の分子は区別できないので、存在割合は合計して 6/16 (= 3/8) となります。

(2)で聞かれているのは塩素「元素の」原子量です。

(塩素分子のことなら「分子量」と聞いてきますから。)

与えられている相対質量(35と37)は「原子の(各同位体の)」原子量です。

それぞれの存在比を考慮して平均をとる、つまり相対質量×存在比」の和をとれば塩素「元素の」原子量を求められます

<メモ>
これは気体分野で混合気体の平均分子量を求めるのと同じことです。
混合気体の平均分子量は「分子量×モル分率」の和で求められます。

まとめ

最後にこの記事のまとめです。

ややこしい内容だったと思いますので、まとめで頭をスッキリさせておきましょう。

同位体の定義と「元素の」原子量の求め方を次の単語カードのようにまとめておきます。

少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

同位体のポイントまとめ(1)

同位体のポイントまとめ(2)

今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!