過マンガン酸カリウムの酸化還元滴定の標準問題を解説

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★☆

前回予告したとおり、今回は酸化・還元の計算問題にチャレンジです。

最も有名な「過マンガン酸滴定」の標準問題を扱います。

化学の授業で実際に実験をしたことがある方も多いかもしれません。

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問題に挑戦!

早速、問題をご覧ください。

問題

0.050 mol/L の過酸化水素水 10.0 mL に、硫酸酸性下で濃度不明の過マンガン酸カリウム水溶液を滴下したところ、20.0 mL 加えたところで終点となった、
1. この滴定の終点はどのように判断したらよいか。
2. 起こった反応を化学反応式で示せ。
3. 過マンガン酸カリウム水溶液の濃度を求めよ。

<補足>

普通は濃度が既知の溶液を滴下して、滴下される側の溶液の濃度を求めるのが滴定です。

しかし滴定に限らず、いつも同じものが未知で同じ方向の計算だけを行うとは限らないので、また同じ方向の計算にだけ慣れるのを避けるため、今回はあえて滴下する側の溶液の濃度を未知としました。

また実際の実験では滴下量をあらかじめ見積もっておくことも大切ですね。

それでは解答を順に示し、最後に酸化・還元の計算問題のポイントをまとめます。

滴定の終点

まず、この滴定の終点は「過マンガン酸イオンの赤紫色が消えずにわずかに着色したとき」とします。

これが1番の答えです。

過マンガン酸イオンは赤紫色なので、過マンガン酸カリウム水溶液も赤紫色の溶液です。

これを無色透明の過酸化水素水に少しずつ滴下していくと、滴下した瞬間に酸化・還元反応が起こり、過マンガン酸イオンが消費され赤紫色はすぐに消えます。

これを繰り返していき終点になると滴下される側の水溶液中の過酸化水素がちょうどなくなり、過マンガン酸イオンがわずかに残ることとなり、若干赤紫色に着色します。

このように少しだけ着色する絶妙なタイミングを見る必要があるので、終点近くにきたら1滴ずつ滴下するのが常ですが、実際の実験では緊張してビュレットの手元が狂い、滴下し過ぎて終点を越えて溶液が鮮やかなピンクに = 実験失敗、、、なんてこともしばしばです。

実験器具の名前も覚えておこう

ここでビュレットという名前がでてきたので、少し脇道に逸れます。

実験で用いる実験器具の名前と用途は一応覚えておきましょう

入試で出題されることもたまにありますので。

今回の例で言えば、正確な濃度の溶液の調製を行うのはメスフラスコ、滴下される側の溶液を入れるのは例えば三角フラスコ、メスフラスコから三角フラスコに決まった液量を移すのはホールピペット、滴下はビュレットで行います。

酸化還元の反応式をつくる

さて、問題の解答に戻り、2番の化学反応式の立式の解答を示します。

まずは半反応式をつくりましょう(詳しいつくり方は前回の投稿をご参照ください)。

ここで注意ですが、今回の反応では過酸化水素は還元剤として働いていますので、反応後は酸素になります(過酸化水素と二酸化硫黄は酸化剤、還元剤の両方になり得るのでした。これまた前回の投稿をご確認ください。)。

半反応式が書けたら、電子を消してイオン反応式残りのイオンを加えて化学反応式を完成させます

少し面倒な作業ですが、慣れれば素早く、ミスなくできるようになります。

酸化還元の反応式を作る例題の解説です

という感じで酸化・還元の化学反応式を完成させることができました!

<注目!>

ここで、イオン反応式から化学反応式にする(残りのイオンを加える)ときに、何のイオンを加えればよいのか、どのイオン同士を組み合わせればよいのか、迷うかもしれません。

基本的には問題文中の化合物を左辺でつくるように残りのイオンを加えましょう

本問では、問題文中に過マンガン酸カリウム、硫酸とあります。

そこでイオン反応式に出てきていない、カリウムイオン、硫酸イオンを、それぞれの相棒である左辺の過マンガン酸イオン、水素イオンと合体できる個数分だけ両辺に加えます。

右辺ではつじつまが合うようにイオンを組み合わせていきましょう。

「係数比=モル比」が鉄板

ここまでくれば本問も後一歩、3番は当ブログの化学計算でいつも強調しているように、単位を意識しながら計算しましょう

過マンガン酸滴定の例題の解答

このように化学反応式の係数比=モル比を用いる方法がオススメです。

電子のモルでつなぐのもアリ

また、酸化・還元反応では「酸化剤の得た電子のモル数=還元剤が出した電子のモル数」が成り立つので、これを用いて次のように計算する方法もあります。

過マンガン酸滴定の例題の別解

この方法を用いる場合、問題で聞かれない限り、(全体の)化学反応式は不要です(半反応式の係数から「酸化剤と電子」、「還元剤と電子」のモル比が分かるため)。

しかし化学反応式を完成させておくと酸化剤と還元剤のモル比がダイレクトに分かるので、ミスが少ないかなと思います。

自分に合った方のやり方で、いつも同じ方法で解くようにするのが良いでしょう

酸化・還元の計算問題にはこのアプローチ!

ここまでお疲れさまでした!

最後に以上を踏まえ、酸化・還元の計算問題に取り組む際のポイントをまとめておきますので、是非ご確認ください。

酸化還元の計算は次のようなアプローチで解きましょう

酸化還元の計算問題を解くときのポイントです

前々回から3回に渡って、「酸化・還元」を扱ってきました。

この分野は重要、かつ勉強になる分野ですので、今後もちょくちょく取り上げようと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
今後も当ブログをよろしくお願いします!