鉛蓄電池の構造と反応式の作り方:覚えるべきポイントをまとめて例題で演習!

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★☆

鉛蓄電池はダニエル電池や燃料電池などと並んで、大学入試で頻出の特殊な電池です。

今回は鉛蓄電池について、「これさえ覚えておけば大丈夫!」というポイントのまとめを紹介し、標準的な例題を解説します。

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はじめに少し説明が続きますが、目次からお好きなところにジャンプしていただいても構いません!

鉛蓄電池の構造

早速ですが、鉛蓄電池の構造を見てみましょう。

鉛蓄電池の構造の図

鉛蓄電池の負極は鉛 Pb、正極は酸化鉛(IV) PbO2、電解液は希硫酸 H2SO4aq です。

この次に紹介する反応式のとおり、放電により両極に硫酸鉛(II) PbSO4 が析出します。

これにより、負極・正極ともに質量が増加します。

一方で硫酸は消費され、希硫酸の濃度・密度は減少します。

電池では負極・正極・電解液が何かは必ず覚えなくてはならない事項です。
また、放電による「両電極の質量増加」と「希硫酸の濃度・密度の減少」はよく聞かれるので知っておきましょう!

鉛蓄電池の反応式

鉛蓄電池の各電極の反応式、および全体の反応式は次のとおりです。

鉛蓄電池の反応式(負極、正極、全体)

電池の負極は還元剤、つまり負極は酸化されるので、負極の Pb の酸化数は PbSO4 になるときに、0から+2へと増加しています。

逆に、正極の PbO2 内の Pb の酸化数は PbSO4 になるときに、+4から+2へと減少しています。

酸化・還元の定義が不安な方は次の記事も参考にしてみてください。

【オススメ】反応式の作り方

さて、これらの反応式をそのまま丸暗記する必要は全くありません。

電池の負極と正極の反応式は所詮、酸化・還元の半反応式なので「何が何に変化するか」さえ覚えておけば、その場で立式できます。

半反応式の作り方は次の記事で詳しく解説しています。
入試に出る半反応式の一覧もありますよ!

ただ、鉛蓄電池の場合は少し特殊な手順を踏んで半反応式を作ります。

オススメの手順を次の図で説明します。

鉛蓄電池の負極・正極の(半)反応式の作り方(硫酸イオンを加えるのがカギ

鉛蓄電池の場合の「何が何に変化するか」は前述の通り、負極の Pb も正極の PbO2 もどちらもPbSO4 になります。

これは覚える他ありません。

次に半反応式の作成手順に入る前に、鉛蓄電池の場合は電解液(希硫酸)の硫酸イオンを左辺に加えます

これがカギとなるステップで、後は普通の半反応式の作成手順を踏めばOKです。

式自体は複雑ではないので、一度経験しておけば確実に立式できるはずです!
また、流れる電子のモル(2 mol)も覚えておくとスムーズです。

鉛蓄電池のポイントのまとめ

以上の内容を押さえておけば、後は問題演習をして慣れるのみです。

ということで一旦ポイントをまとめておきます。

押さえるべきは次の事項です。

・構造(負極、正極、電解液が何か)
・(半)反応式を作るための知識(何が何に変化するか)
・問題でよく聞かれる事項(両電極の質量増加と希硫酸の濃度・密度の減少)

これらを覚えるために、次のように単語カードにまとめてみました。

今回はうら面を2パターン(図で覚える場合と反応式で覚える場合)用意しました。

覚えやすい方を活用していただければ幸いです。

鉛蓄電池(放電)のポイントまとめ(1)

鉛蓄電池(放電)のポイントまとめ(2)(図ver.)

鉛蓄電池(放電)のポイントまとめ(3)(反応式ver.)

※前述のとおり、反応式を丸々覚える必要はありません。

大事なのは、反応式をその都度作れるようになることです。

外部電源装置を鉛蓄電池につなげ(負極と負極、正極と正極)、起電力以上の電圧をかければ鉛蓄電池を充電できます。
充電時はすべての反応、現象が放電時と逆に起こります。

鉛蓄電池の問題に挑戦!

それではいよいよ問題を解いてみましょう。

実際に紙に書いて解いていただくと効果的ですが、解答を見るだけでも勉強になるはずです。

問題

質量パーセント濃度 30 % の希硫酸 1000 g を電解液とする鉛蓄電池を放電させたところ、負極の質量が 24 g 増加した。
放電後の希硫酸の質量パーセント濃度を求めよ。
(H = 1.0、O = 16、S = 32)

<解答>

まずは負極、正極、全体の反応式を書きましょう。

その後、負極の質量増加の情報から流れた電子のモル数を求めます。

それを仲介として消費された硫酸、生成した水のモル数および質量を求めたら、後は質量パーセント濃度の定義通りに計算すればOKです。

鉛蓄電池の例題の解答(電極の質量増加から流れた電子のモル数および希硫酸の濃度変化を求める)

濃度が放電前から減少していることを確認しましょう。

なお、質量パーセント濃度や濃度間の変換などについては、次の記事で詳しく解説していますので、こちらも併せてご参照ください。

いかがだったでしょうか。
今回の内容をしっかり定着させていただければ、鉛蓄電池の問題で必ず高得点を狙えるはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!