混合気体:ドルトンの分圧の法則と燃焼後の水の気液の判定について

難易度:★★★☆
頻出度:★★☆☆

今回は苦手意識を持つ方が多い、混合気体について解説します。

ただでさえイメージしづらい気体が混合されているのですから、たしかにとっつきづらいと言えます。

しかし「なぁんだ」と一度納得してしまえば、ドンドン問題が解けるようになり、より一層考え方・解き方に慣れていく、という好循環に持っていくことができます。

そこで今回は、混合気体に関するドルトンの分圧の法則混合気体の燃焼の例題について、かゆいところにも手が届くように、理由なども掘り下げて詳しく解説していきます。

是非最後までお付き合いください。

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混合気体とは

混合気体とはその名のとおり、複数の種類の気体が混合されてできた気体のことです。

普通は1つの容器に複数の種類の気体を入れることで混合気体が形成されます。

容器内で各気体は四方八方に拡散するので、混合気体は均一な組成となります。

大学入試では、混合気体をつくって全圧や分圧を求める問題、混合気体を燃焼させて全圧や分圧を求める問題などがよく出題されます。

(本記事ではどちらのパターンも扱いますよ!)

全圧と分圧の理解が大事

上でさらっと全圧分圧という用語を用いましたが、これらを正しく理解することが、混合気体を攻略するためのカギと言えます。

それぞれの定義、意味を以下で説明します。

全圧

混合気体全体の圧力を全圧と言います。

容器内の混合気体を考えるときは、容器内の圧力を測定すればそれが全圧です。

つまり全圧は直接測定することが可能です。

分圧

こちらが少し難解でやっかいです。

混合気体を形成する各気体(成分気体と言います)が、混合気体と同じ体積を占めた場合に示す圧力を分圧と言います。

容器内の混合気体を考えるときは、容器内に注目している成分気体のみが存在すると仮定したときの圧力が分圧となります。

よって全圧と異なり、分圧は基本的には直接測定することができません(なので計算で求めます)。

【アドバイス】気体の圧力の捉え方

少し脱線させてください。

皆さんは「気体の圧力」をどのようにイメージされるでしょうか?

「気体が示す圧力」とも言うので、ビュンビュン飛び回っている気体が周囲に及ぼす力をイメージされるかもしれません。

そのイメージは正しいです。

それと同時に、気体が周囲から受ける力周囲が気体に及ぼす力という逆のイメージも持っておくと良いと思います。

(物理で習う作用反作用の法則により、どちらで考えても力の大きさは等しいですよね。)

気体主体で能動的目線から考えることも大事ですが、このように受身的に捉えることで、すんなり理解できる現象もあります。

後ほど例題の解答で、多くの方が疑問に思う「水を気体と仮定して求めた圧力が蒸気圧を超えると液体が存在する」ことの理由を説明する際に、この考え方を使います。

ドルトンの分圧の法則

話を元に戻します。

全圧と分圧の定義が分かったところで、両者をつなぐ法則を紹介しましょう。

イギリスの化学者ドルトンが提唱したドルトンの分圧の法則です。

単にドルトンの法則と言う場合もあります。

ドルトンの分圧の法則

混合気体の全圧は各成分気体の分圧の和となる

また各成分気体について状態方程式が成立すること(モル数と圧力が比例すること)から、次のことも言えます。

厳密にはドルトンの分圧の法則には含まれませんが、混合気体を扱う上で同じくらい重要な関係なので、必ず押さえておきましょう。

混合気体について

モル比=分圧比

ドルトンの分圧の法則は分子間の相互作用や分子自身の体積を無視する理想気体については完全に成立します。

全圧は分圧の和」と、シンプルかつ直感的で覚えやすいですが、この法則が真に言わんとするところは、「混合されていてもそれぞれの気体は独立したものとして扱うことができ、最終的に合計すれば良い」ということです。

2つの気体を混ぜ合わせて混合気体をつくる場合を例にとり、次の図で詳しく解説します。

混合気体、ドルトンの分圧の法則についての説明図

コックを介して連結された2つの容器内にそれぞれA、Bという気体が封入されています。

コックを開けると両気体は拡散し、均一になることで混合気体となります。

できた混合気体の圧力(全圧)を求めてみましょう。

※実際はコックを含む連結部分がありますが、見やすさのため、混合後の図では2つの容器をくっつけて表現しています。

上述のとおり、それぞれの気体は、たとえ混ざり合っていても独立したものとして扱うことができます

つまり混合におけるAの変化を考えるときはAだけを見てBの変化を考えるときはBだけを見ます

それぞれの気体は温度一定下で体積が増えた(広いところに拡散した)ので、ボイルの法則を適用し、混合後の圧力を求めることができます。

こうして各成分気体に注目することで求められるのは分圧であることに注意しましょう。

(注目している気体だけが容器内に存在する、と考えることは、前述の分圧の定義そのものです。)

分圧であること、つまり混合されていることを忘れるくらいに、注目している気体だけを見ればOKです。

そして最後に、混合後の全圧は「全圧=分圧の和」で求めることができます。

混合気体の燃焼の問題に挑戦!

ではここまでの内容の復習も兼ねて、例題に挑戦してみましょう。

大学入試で頻出の混合気体の燃焼問題です。

混合気体の燃焼の例題

<解答>

混合気体の燃焼の例題の解答

まずは上述の「モル比=分圧比」より燃焼前のメタンと酸素の分圧を求めます。

次に反応の量的関係を計算します。

普通はモルを用いて、反応前の量に変化量を足し引きして反応後の量を求めます(バランスシート(表)で計算するとミスが起こりにくいです)が、ここでも「モル比=分圧比」であることから、分圧を使って計算します。

ここでもう一つ重要なポイントがあります。

燃焼で生じた水は与えられた温度ですべて気体と仮定します

燃焼直後は気体でも、温度が 85℃ まで下がれば一部が液体になりそうな気がしますが、このように仮定するのが定石です。

理由は案外単純で、分圧で計算する以上、気体と仮定する他ないからです。

あとでこの仮定が正しいかどうかを吟味することになります。

何はともあれバランスシートを書きます。

反応前の量は先ほど求めたメタンと酸素の分圧そのままです。

変化量は化学反応式の係数比に従います

(基準は左辺の反応物質の中で反応してゼロになるメタンです。)

反応後は反応前に変化量を足し引きするだけです。

そしてここでいよいよ水の気液の判定を行います。

先ほど、生じた水は与えられた温度(85℃)ですべて気体と仮定しました。

そうして求めた水蒸気の分圧は、その温度における水の飽和蒸気圧より大きくなりました。

ということは、水蒸気の一部が凝縮して液体の水が存在しており、容器内で水と水蒸気は気液平衡になっています(下で補足します)。

よって水蒸気の分圧は飽和蒸気圧を示します。

※蒸気圧については次の記事を参考にしてください。なお当ブログでは「蒸気圧(飽和蒸気圧)」と「蒸気の圧力」を使い分けています。

後はドルトンの分圧の法則より、燃焼後に存在する全気体(酸素、二酸化炭素、水蒸気)の分圧の和をとることで全圧を求めることができます。

なお水が一部液体だったからと言って、他の気体(酸素、二酸化炭素)の分圧に影響はありません。

混合気体中の各成分気体は独立していると考えることができるのでした。

【補足・理由】「蒸気圧を超えられない」のは何故?

すべて気体と仮定して求められた圧力が蒸気圧を超えていた場合、液体が一部存在している

この論理に対して「気体の圧力は何故蒸気圧を超えることができないのか?」と疑問を持つ方はかなり多いのではないでしょうか。

この疑問に対する答えを補足したいと思います。

たしかに、「圧力が高い=分子がハチャメチャに飛び回っている」と想像すると、蒸気圧を超えられそうな気がしてしまうかもしれません。

そこで本記事上部の【アドバイス】でお話ししたように、気体の圧力を、気体が周囲から受ける力周囲が気体に及ぼす力と考えてみてください。

温度一定で気体に力を加えて圧縮していくと、気体分子の動きがぎゅーっと押さえつけられるイメージで、どこかで液体が生じ始めます。

そのときの気体の圧力が蒸気圧ですよね。

それ以降は圧縮しても、すべてが液体となるまで気体の圧力は蒸気圧のまま変わりません(圧縮の力が気体の凝縮に使われるイメージです)。

ということは、気体が存在している間に加えることができる圧力の最大値は蒸気圧、ということになります。

気体に加える力が気体の圧力でしたから、つまり気体の圧力は最大値である蒸気圧を超えることはできないのです。

よって、すべて気体と仮定して求めた圧力が蒸気圧を超えていた場合、それはあり得ないことであり、本当は気体と液体が共存している、という結論に至ります。

まとめ

ここまでお疲れさまでした。

最後に今回のテーマの最も重要なポイントを、単語カードにまとめて終わりにしたいと思います。

混合気体の扱い方のまとめ(1)

混合気体の扱い方のまとめ(2)

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!