pH の求め方と水のイオン積:pOH との関係を公式として使うと楽!

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★★

今回は化学の酸・塩基分野の要の指数、pH の基本的な求め方について解説します。

pH については、定義式を押さえつつ、水のイオン積と絡めて pOH との関係を知っておくと問題を解くスピードが向上します。

どういうことか、例題とクイズも使いながら説明していきます。

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pH の定義式・求め方

pH(ピーエイチ、ペーハー)は水素イオン指数とも呼ばれ、水溶液の酸性もしくは塩基性の度合いを示す指数です。

pH < 7 が酸性、pH = 7 が中性、pH > 7 が塩基性なのは有名ですね。

その求め方・定義式は次のとおりです。

酸と塩基の反応、つまり中和反応の本質は水素イオンと水酸化物イオンが反応して水になることですから、水素イオンや水酸化物イオンの濃度がキーとなります。

pH と pOH の定義の説明図

pH は水素イオン濃度の常用対数にマイナスをつけたものです。

また対数の定義により、水素イオン濃度は「10のマイナス pH 乗」とも言えます。

こちらの方が直感的で覚えやすいかもしれません。

<メモ>
水溶液中の水素イオン濃度は非常に小さい値なので、対数をとってマイナスをつけることで見やすく扱いやすい値にしよう、というのが pH 導入の意図だと思います。

pOH もあるよ

そして上図に書いたとおり、水酸化物イオンについて同様に定義した pOH という指標もあります。

pH とは知名度に天と地ほどの差がありますが、この pOH もなかなか便利です。

何故なら 25℃ では「pH + pOH = 14」という簡単な関係が成り立ち、pOH が分かれば pH もすぐに求めることができるからです。

この関係式は次に説明する水のイオン積が根拠となっています。

水のイオン積とは

さて pH の定義と一緒に覚えておきたいのが水のイオン積です。

導出過程も含めて下図に沿って解説していきます。

水のイオン積の説明図

どんな水溶液中でも水はごくわずかに電離しています。

つまり水は水素イオンおよび水酸化物イオンとの電離平衡状態にあります。

この電離平衡の平衡定数を K とします。

K は温度によって変化しますが、逆に言えば温度が一定なら K も一定です。

ここで、K の式の右辺の分母に水のモル濃度があります。

水溶液において水は溶媒で多量にありますから、多少の溶質(酸または塩基)が存在していても、そのモル濃度は一定とみなすことができます。

なので水のモル濃度も左辺に持っていき K の仲間に加えます。

すると温度が一定なら左辺は一定となり、ということは右辺も一定、となります。

つまり温度が一定なら水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度の積は一定となると結論付けられます。

この水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度の積に水のイオン積 Kw という名前が付いています。

温度が一定ならどんな水溶液においても Kw の値は一定となるので、Kw は pH を求める際に大変有用な定数と言えます。

そして上図の一番下に書いた 25℃ における Kw の値は覚えておきましょう。

先ほどお話しした「pH + pOH = 14」の「14」はこの指数の「-14」からきています。

水のイオン積の式の両辺の常用対数をとって pH と pOH の定義を当てはめて得られた公式みたいなものです。

問題に挑戦!

それでは実際に pH を求める例題を見てみましょう。

中和後の pH を求める基本的な問題です。

問題

0.05 mol/L の塩酸 100 mL と 0.15 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液 100 mL を混合した水溶液の pH を求めよ。
ただし水溶液の温度は 25℃ で一定とし、25℃ における水のイオン積は上記の値とする。
また常用対数の値は log5 = 0.70 とする。

<解説>

強酸と強塩基の中和なので面倒な平衡計算をしないでも pH を求めることができます。

強酸と強塩基の中和後の pH を求める例題の解答

まずは中和の量的関係を押さえます。

酸からの水素イオンと塩基からの水酸化物イオンのモルをそれぞれ求めて、どちらがどれだけ余るか計算します。

化学や物理の記事では毎回のように言っているのでしつこいかもしれませんが、単位に気をつけて式を立てましょう

酸または塩基のモルに価数を掛けることで水素イオンまたは水酸化物イオンのモルになるので、価数を忘れないように要注意です!

今回はどちらも価数が1なのでもし忘れても答えに影響はありませんが、解答で「×1」が抜けていると減点の対象にもなり得ます。

なおこのあたりの計算については次の記事も参考にしてみてください。

ちょっと変わった固体の中和計算の問題を解説しています。

話を戻します。

中和で水酸化物イオンが残ることが分かったら、その濃度を求めます。

残りのモルを「混合後の」体積で割ります

水溶液の体積が 200 mL になることがこれまた要注意ポイントです。

ここから水のイオン積を使って水素イオン濃度を求めて pH へとつなげても良いですが、pOH を求めて「pH + pOH = 14」を使う方が若干簡単です。

前述のとおり pH と pOH のこの関係式は、元々は水のイオン積の定義式からきているわけですから、ちゃんと同じ結果が得られます。

こたえは pH = 12.7、つまり塩基性となりますが、中和で水酸化物イオンが残ったのだから妥当な結果だな(計算ミスはなさそうだな)、と納得しておくことも大事です。

<メモ>
log2 = 0.3 を与えられても答えが出せるようにしておきましょう。
log5 = log(10/2) = log10 – log2 = 1 – 0.3 = 0.7 の対数計算は数学でも化学でも頻出です。

クイズに挑戦!

まとめの前にもう1つ、軽いクイズを出させてください。

問題

pH = 5 の塩酸を1000倍に薄めた溶液の pH はいくつになるか。

<解説>

pH = 5 ということは水素イオン濃度が「10のマイナス5乗」ということですが、これを1000倍に薄めると「10のマイナス8乗」になるか、と言うとそうは問屋が卸しません。

どんどん薄めていき水素イオン濃度が小さくなると、水の電離の平衡が水素イオン側に偏り(ルシャトリエの原理)、この電離による水素イオン濃度を無視できなくなります。

結果として pH は 7 に限りなく近づきますが、決して 7 を超えません。

ということで答えは「pH = 7」です。

このように酸をどれだけ薄めても塩基性にはならず、塩基をどれだけ薄めても酸性にはなりません

一応知っておきましょう。

まとめ

ここまでお疲れ様でした!

最後に今回の内容のまとめです。

pH の定義は「水素イオン濃度 =『10のマイナス pH 乗』」と言葉で押さえておくと忘れにくいでしょう。

また水のイオン積とは何か、そして 25℃ での値もお忘れなきように。

pH + pOH = 14」もけっこう便利なので使いこなしてみてください。

pH と水のイオン積のまとめ(1)

pH と水のイオン積のまとめ(2)

といったところで今回はおしまいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!