蒸気圧と蒸気の圧力は違う!問題を解く上でのポイントや蒸気圧曲線の意味などを徹底解説!

難易度:★☆☆☆
頻出度:★★★★

今回のテーマはズバリ、蒸気圧です。

蒸気圧は簡単なようで意外と奥が深くて分かりにくく、しっかり理解しておかないと足元をすくわれかねません。

(どうでもいいですが、正しくは「足をすくわれる」らしいですね。)

そこで本記事では蒸気圧蒸気圧曲線について、押さえておくべき事項をじっくり解説していきます。

今回は比較的文字が多めなので読むのが大変かもしれませんが、是非最後までお付き合いいただければと思います。

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(飽和)蒸気圧とは

一般に「蒸気圧」と言うと、それは「飽和蒸気圧」を指します。

「飽和」が省略されることが多いので誤解しがちですが、普通は蒸気圧 ≠ 蒸気の圧力」なので注意してください。

次の図で簡単な例を用いて詳しく説明します。

なおこの例では液体として最も身近な水を用いているので、蒸気は水蒸気、蒸気の圧力は水蒸気の圧力、飽和蒸気圧は飽和水蒸気圧と名前が少し変わっています。

飽和蒸気圧の説明図

断熱容器を用意して、そこに熱水を入れてフタをすることで密閉します。

すると熱水から水が少しずつ蒸発していきますよね。

水が蒸発すると容器内に水蒸気が生じ、圧力を示します。

これが水蒸気の圧力です。

蒸発が進めば進むほど水蒸気の圧力は大きくなっていきます。

(もちろんはじめから容器内の空気中に少量の水蒸気が存在しますが、それはここでは無視しましょう。熱水から蒸発して生じる水蒸気の方が圧倒的に量が多いからです。また、断熱容器なので水の温度は一定とみなしましょう。)

ここで1つ注意点があります。

水が蒸発している間、実は水蒸気の凝縮も同時に起こっているということです。

物質の状態変化は一方向のみが起こるのではなく、双方向が起こっているものの、片方の速度(量)が他方の速度(量)より速い(多い)ために、見かけ上一方向のみ起こっているように見えるだけです。

今の例では水の蒸発速度水蒸気の凝縮速度より速い(蒸発量が凝縮量より多い)ので、見かけ上蒸発のみが起こっているように見えます。

話を戻します。

蒸発が進んで容器内の水蒸気の量がどんどん増えていくにつれ、水が蒸発しづらく(蒸発速度が小さく)なり、逆に水蒸気が凝縮しやすく(凝縮速度が大きく)なりますよね。

するとやがて水の蒸発速度蒸発量水蒸気の凝縮速度凝縮量等しくなり、容器内の水蒸気量が限界(飽和)を迎えます。

この、見かけ上水の蒸発も水蒸気の凝縮も起こっていない状態を気液平衡と言います。

「平衡」は「バランスが取れている」という意味なので、気体(蒸気)と液体のバランスが取れている、という意味の用語になります。

そして容器内が水蒸気で飽和しているときに、水蒸気が示す圧力を(飽和)水蒸気圧と言います。

(ここから一般的な話になります。)

つまり、蒸気の圧力の限界値が(飽和)蒸気圧なのです。

繰り返しますが、「飽和」が省略されていても、蒸気圧 ≠ 蒸気の圧力」なので注意しましょう。

さて、各物質の(飽和)蒸気圧は温度のみの関数であり、温度が高いほど大きくなります

高温になるにつれて液体分子の熱運動が激しくなってエネルギーの大きい気体分子になるので、「温度が高ければ高いほど液体が気体(蒸気)になりやすい」→「飽和蒸気の量が多くなる」→「(飽和)蒸気圧が大きくなる」のです。

イメージどおりと言うか、当たり前のことではあります。

そして(飽和)蒸気圧と温度の関係を図にしたのが蒸気圧曲線です。

蒸気圧曲線から分かること

蒸気圧曲線もある意味うそつきな名前です。

ここでも「飽和」という単語が省略されているのですから。

でももう大丈夫ですよね。

蒸気圧は飽和蒸気圧のこと、単なる蒸気の圧力ではない」、口が酸っぱくなりました。

ここからは「飽和」は省略しますが、このことを忘れずに読み進めていただきたいと思います。

では蒸気圧曲線から読み取れることを見ていきましょう。

といってもポイントは1つだけです。

次の図をご覧ください。

蒸気圧曲線から分かること

結論から言うと、蒸気圧曲線からは沸点を読み取ることができます

何故でしょう。

まずは基本的ですが、沸点とは何か、というところから確認していきましょう。

沸点とは沸騰する温度のことです。

では沸騰とは何か、蒸発とは違いますよね。

蒸発は液体が表面から気化することですが、沸騰は液体内部から気化することです。

ここで沸騰の場合は、気化と言っても液体内部からボコボコ激しく気泡が生じます。

(ちなみに液体内部に少量の気泡ができるのは、高温になり液体に溶けきれなくなった気体(蒸気だけでなく空気など周囲の気体も含みます)が出てきているからです。気体の溶解度は高温ほど小さくなるのでした。詳しくは次の記事をご参照ください。)

ではどういう条件のときに、液体内部からボコボコ激しく気泡が生じるのでしょうか。

沸点より低い温度では液体内部から生じるごくわずかな気泡は外圧に押しつぶされてすぐ消えてしまいます(見えません)。

しかし温度が上がって、その温度における気泡の圧力が外圧と同じになれば、気泡は膨らんで液体表面へとボコボコ上昇します。

つまり気泡の圧力が外圧と等しくなったときに沸騰が起こります。

その温度における気泡の圧力とは蒸気圧のことですし、外圧とは(普通は)大気圧のことです。

よって、蒸気圧が大気圧と等しくなったときに沸騰が起こり、そのときの温度が沸点となります

蒸気圧曲線は蒸気圧と温度の関係図でしたから、蒸気圧(縦軸)からそのときの温度(横軸)を読み取ることができます。

よって大気圧を与えられたら、その値を蒸気圧(縦軸)に読み替えて、そのときの温度(横軸)を読み取ればそれが沸点になります。

このようにして蒸気圧曲線から沸点を求めることができるのです。

これが蒸気圧曲線の最大のポイントと言えます。

縦軸から横軸を見るという、グラフの普通の使い方とは逆の見方をすることに慣れおきましょう。

<メモ>
もちろん、温度(横軸)を与えられてそのときの蒸気圧(縦軸)を求める、という普通の使い方をする場合もあります。

【お役立ち】液体が存在すれば…

最後にもう1つ、蒸気圧関連の問題を解く際に役立つ考え方を伝授したいと思います。

それは「密閉容器内に液体が存在すれば、接する蒸気は蒸気圧を示す」ということです。

よく問題文で、「〇〇を燃焼させたところ容器内に少量の水が残った」などの表記がありますが、これは燃焼後(十分時間経過後に)、蒸気である水蒸気と液体の水が気液平衡にある、つまり水蒸気は蒸気圧を示す、ということを暗に意味しています。

液体が存在すれば蒸気圧」、覚えておいて損はないですよ!

※燃焼ではないですが、次の記事の例題でも「液体が残った」ことを利用しています。お時間があるときに併せてご確認いただければと思います。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。

今回も単語カードのまとめで締めくくりとしましょう。

(飽和)蒸気圧、蒸気圧曲線などのポイントのまとめ(1)

(飽和)蒸気圧、蒸気圧曲線などのポイントのまとめ(2)

なお、近日中に今回のテーマに関連して混合気体の燃焼についての記事をアップする予定です。

(アップ次第ここにリンクを貼ります。)

→記事をアップしました。次のリンクからご参照いただけますと幸いです。

今後とも当ブログをどうぞよろしくお願いします。