ベクトルの引き算の最大のポイントは「分解」

難易度:★☆☆☆
頻出度:★★★★

前回の「ベクトルの足し算」に引き続き、今回は「ベクトルの引き算」を取り上げます。

ベクトルの場合、足し算は感覚的にも理解しやすく使いこなすのも楽しいですが、引き算はちょっと難解で油断すると足をすくわれかねません。

そんな「ベクトルの引き算」の基本と最大のポイントを図や式を使って解説します。

普通の教科書や参考書とはちょっと違った説明になっているかもしれません(もちろん良い意味で)。

いつも通りまとめと例題演習も用意しましたので、是非最後まで読んでみてください。

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引き算は足し算からつくれる

ベクトルはいわば矢印なので、引き算と言われてもあまりピンときませんよね。

よく言われるように、ベクトルの引き算は足し算からつくりだすことができます。

次の例をご覧ください。

ABベクトル を左辺から右辺に移行するイメージで、右辺に引き算をつくります。

ベクトルの足し算から引き算をつくる

普通はこれで終わりですが、もう少し掘り下げて説明します。

引き算の違った捉え方

次の図をご覧になりながら、後の文章を読んでください。

ベクトルの引き算の最大のポイント(始点一致の場合と分解)

始点一致と図的解釈

冒頭で紹介した前回の記事でも書いた通り、足し算では2つのベクトルの始点を一致させて平行四辺形をつくるパターンが基本的です。

引き算でも始点一致のアプローチは重要です。

上図のように始点を一致させた2つのベクトル、OBベクトル と OAベクトル の引き算を考えてみましょう。

式で示した通り、OAベクトル をマイナスを付けて AOベクトル に変換することで、足し算に持ち込むことができます。

結果として OBベクトル と OAベクトル の差は ABベクトル になります。

この結果を図的に解釈すると次のようになります。

ベクトルの引き算の図的解釈

始点を一致させた2つのベクトルの引き算は 引く方のベクトルの先端から引かれる方のベクトルの先端へとベクトルをつくる こと。

足し算の場合ほど直感的ではありませんが、この事実を覚えておくと便利です。

なおこの図的関係は、物理の力学で出てくる「相対速度」と絡めて覚えておくと定着しやすいと思います。

興味のある方は次のリンク先の記事も併せてご参照ください。

始点は任意!

さて上の計算において、始点 O は一致さえしていればどこにあってもOKです。

言い換えれば、どこか他の点、例えば C からのベクトルを考えて(C を始点ととらえて)、CBベクトル - CAベクトル をしても答えは ABベクトル になります。

図中下部の枠で囲った式ではこのことを言っています。

【Point】ベクトルの分解

この式を逆に見ることで、ベクトルの引き算の最大のポイントを導き出すことが出来ます。

つまり右辺から見れば、ABベクトルを、任意の点を始点とする2つのベクトルの差に分解できる、ということです。

問題を解く過程で式変形をしているとき、このベクトルの分解を駆使することで、欲しい(必要な)ベクトルを簡単に作り出すことができるのです。

このポイントを今回のまとめとして単語カードにまとめておきましょう。

先ほどの式の右辺と左辺を入れ替えて、ベクトルの分解の形で書きました。

ベクトルの引き算のポイントまとめ(1)(ベクトルの分解)

ベクトルの引き算のポイントまとめ(2)(ベクトルの分解)

問題に挑戦!

それでは実際にこのポイントを使って問題を解いてみましょう。

よくテストに出る正六角形の基本的な問題です。

ベクトルの足し算引き算の基本例題(正六角形)

<解答>

はじめに、求めたい DFベクトル を、既知の、あるいは求めるのが簡単そうなベクトルの差に分解すると良いでしょう。

Aが始点なので AFベクトル と ADベクトル を選ぶのは自然だと思います。

ADベクトル は図的にすぐ求められます。

ベクトルの足し算引き算の基本例題(正六角形)の解答

別解はいろいろ考えられますが、今回のポイントである「ベクトルの分解」から解き進める方法を選びました。

ということで2回に渡り、ベクトルの基本演算(足し算と引き算)を解説しました。

基本中の基本ではありますが、基礎をしっかり固める機会にしていただければ幸いです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!