鉛直投げ上げには公式よりもグラフ!上向きを正にして描こう!

難易度:★☆☆☆
頻出度:★☆☆☆

物理の力学分野の「落体の運動」の中でも、鉛直投げ上げは特に簡単な運動かもしれません。

投げ上げてからの上昇と下降が対称的で、様子がイメージしやすいからでしょうか。

今回はそんな鉛直投げ上げについて解説しますが、今回ももちろん、使いにくい等加速度直線運動の公式には頼らずに、楽しいグラフ解法で行きます。

なお、途中で関連記事をいくつか紹介しますので、お時間があるときにご確認いただければ幸いです。

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鉛直投げ上げとは

あらためて説明する必要もないかもしれませんが、鉛直投げ上げとは物体を鉛直上向き(真上)に投げることであり、その後の物体の運動を考えます。

真上に飛んで行った物体が最高点に到達した後そのまま下に落ちてくるだけなので、物体の運動方向は鉛直方向のみで、一次元の運動です。

この点では以前紹介した自由落下や鉛直投げ下ろしと同じです。

鉛直上向きを正にとる

しかし、鉛直投げ上げには自由落下や鉛直投げ下ろしと大きく異なる点があります。

それは運動の軸の正方向の決め方です。

自由落下や鉛直投げ下ろしでは物体の運動方向が鉛直下向きなので、軸の正方向も鉛直下向きにとります。

しかし鉛直投げ上げでは、まず物体は鉛直上向きに運動するので、軸の正方向は通常鉛直上向きにとるのが自然です。

POINT

自由落下・鉛直投げ下ろし:鉛直下向きが正
鉛直投げ上げ:鉛直上向きが正

等加速度直線運動の公式を使っていると忘れがちですが、この点はかなり重要です。

物体の運動を解析するときのファーストステップは運動の正方向を決めることですから。

<メモ>
問題によっては鉛直下向きを正にとった方が楽な場合もあります。
物体の数が2つ以上で片方が常に鉛直下向きに運動する場合などです。

また、これも当たり前のことですが、普通は鉛直投げ上げする位置を軸の原点にとります。

つまり初期位置は 0 となります。

初期位置という言葉が聞き慣れない方は、是非次の記事も読んでみてください。

教科書に書いてある等加速度直線運動の公式に足りない要素として初期位置も登場します。

鉛直投げ上げの運動方程式と加速度

それでは鉛直投げ上げされた物体の運動方程式と加速度を見ていきましょう。

投げ上げ後の物体が受ける力は、最高点まで上昇しているときも、最高点から下降しているときも、鉛直下向きの重力のみです。

鉛直上向きが正であることに注意すれば、物体の運動方程式は ma = -mg(m は物体の質量 [kg]、g は重力加速度 [m/s2])となります。

mg の前にマイナスがつくことに注意しましょう。

よって加速度 a は -g で一定(等加速度直線運動)となります。

<メモ>
加速度 a は未知数なので正と仮定して運動方程式を立てます。
よって運動方程式の左辺は必ず ma の形なのです。
m(-a) という置き方はしません。
次の記事も参考になるかもしれません。

鉛直投げ上げこそ「v-tグラフ」が分かりやすい

さて、たいていの教科書では鉛直投げ上げの問題には等加速度直線運動の公式を使っていますが、ここでもやっぱり「v-tグラフ」を使うのが一番です。

「v-tグラフ」は縦軸に速度 v、横軸に時刻 t をとったグラフのことで、「傾きが加速度、面積が変位」になるのでした。

詳しくは次の記事を参考にしてください。

「はじめて聞くぞ」という方もご安心ください。

「v-tグラフ」の描き方、具体的な使い方を次の例題で確認します。

問題に挑戦!

ということで実際に、「v-tグラフ」を用いて鉛直投げ上げの問題を解いてみましょう。

基本的な問題ですが、公式なしでグラフでパパッと解く感覚を味わっていただきたいと思います。

問題

小球を速さ v0 [m/s] で地面から鉛直上向きに投げた。
最高点に達するまでの時間 [s] と最高点の高さ [m] 、地面に戻るまでの時間 [s] とそのときの速さ [m/s] 、計4つを求めよ。

<解説>

鉛直投げ上げの例題の解答

物理の問題なのでまずは図を描きます。

小球が水平方向にも移動しているように描いてありますが、あくまで見やすさのためです。

図に書きこんである情報のうち、問題文で与えられていないものは自分で設定します。

図で状況をイメージできたら早速「v-tグラフ」を描いてみましょう。

前述のとおり鉛直投げ上げでは鉛直上向きを正方向にとることがポイントです。

上向きが正なので上向きに投げたときの初速度 v0 は正の値です。

よってグラフの v切片の v0 は正の位置にとることができます。

次に上向きを正にとる場合、加速度は g で一定なので、v切片の v0 から傾き -g の直線を引きます。

「v-tグラフ」の傾きが加速度であることを思い出してください。

直線の終点は小球が地面に戻ってきたとき(t = t2)です。

また最高点では速度が一瞬ゼロになるので、グラフの t切片が t1 となります。

ここで「v-tグラフ」の面積が変位(正負込みの移動距離)なので、t = 0 ~ t1 の三角形の面積が +h となり、t = t1 ~ t2 の三角形の面積が -h となります。

ここで言う面積は積分値のことなので、t軸 より下の部分は負の面積(正方向とは逆に移動した距離、つまり下降中の移動距離)となることに注意してください。

これで「v-tグラフ」は完成です。

非常に簡単で、短時間で描けますよね。

このグラフが描けると、その対称性から瞬時に、t2 が t1 の2倍の時刻であること、そして v2 と v0 は、速さは同じで向きが逆であることが分かります。

さらに数学的に t1 と h も簡単に求めることができます。

詳しくは上図下部の式たちを見てください。

まとめ

いかがだったでしょうか。

鉛直投げ上げも「v-tグラフ」を使えば視覚的にちゃちゃっと解けちゃいます。

それでは今回の内容をいつもどおり単語カードにまとめておきましょう。

鉛直投げ上げでは上向きを正にとることが重要でした。

「v-tグラフ」も載せておきましたが、形を丸暗記するのではなく、「傾きが加速度、面積が変位」という原則から導き出して、その都度描けるようにしておきましょう。

鉛直投げ上げのポイントまとめ(1)

鉛直投げ上げのポイントまとめ(2)

今回はここまでです。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!