位相とは?実は簡単、わかりやすく説明します!

難易度:★★★☆
頻出度:★★☆☆

今回は物理の波動分野の中で分かりにくさ No.1 の用語、位相について解説します。

難しく聞こえてイメージしにくい位相ですが、たいそうなものではありません。

「なんだそれだけか」と思われるような単純な押さえ方をお伝えします。

反射波の式を求める例題やちょっとしたクイズも使いながら、 関連用語の位相差位相のずれ同位相逆位相についても解説します。

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位相は波の式の角度部分

位相を説明するにあたり、波の式を思い出していただきたいと思います。

高校物理で扱う波のほとんどは正弦波とよばれ、sin の式で表されるのでした。

波の式とは何か、またその簡単な作り方については次の記事をご参照ください。

いきなりですが、位相とはズバリ、波の式の sin の中身角度部分です。

位相とは(説明図)

何故 sin の角度部分に特別に名前がついているのかというと、角度が決まると振動のどの段階にいるかが決まるからです。

上図下部をご覧ください。

左の円で角度が決まれば、右の sin のグラフ(振動のグラフ)のどの位置になるかが決まりますよね。

数学の三角関数でグラフを学ぶときに見たことがあるような関係ではないでしょうか。

位相を位相角と言うこともあるくらいなので、まさに角度のことなのです。

位相差・位相のずれ

位相差位相のずれという言葉もよく聞きます。

交流回路で電圧と電流に位相差が生じる」や「固定端反射で位相が π ずれる」などと使います。

位相は波の式の角度部分のことでしたから、ある波と別の波に位相差がある(位相にずれがある)ということは、波の式の角度部分に差があるということです。

試しに次の例題で「固定端反射で位相が π ずれる」と波の式がどうなるのか見てみましょう。

波の位相についての例題(位相がπずれることから固定端反射の反射波の式を求める)

<解説>

まずは位相のことは考えず、任意の位置 x における波の式を立てましょう。

上でリンクを貼った記事で説明した「波の式を立てるための3ステップ」を参考にしていただければ、あっさり立式できると思います。

波の位相についての例題(位相がπずれることから固定端反射の反射波の式を求める)の解答1

ステップ1は上記記事内で解説した例題と全く同じですので、ここでは詳細は割愛させていただきます。

1つ飛んでステップ3も問題ないでしょう。

t を t-t’(t’ はステップ2で求めます)で置き換えるだけです。

唯一、ステップ2が若干トリッキーな考え方を要するかもしれません。

原点から任意の位置 x に直接到達するのではなく、反射板で反射してから到達するので、波の進む距離は単に x とはなりません。

波の進む距離が x と L でどう表されるか、上のように図的にじっくり考えましょう。

ちなみにこの問題に限らず、「任意の〇〇」と言われたら○○は普通は正の値で設定すれば十分です。

もし x が負でも次の補足のように結局同じ式になりますので。

波の位相についての例題(位相がπずれることから固定端反射の反射波の式を求める)の解答の補足

そして反射板での固定端反射を考慮します。

波の位相についての例題(位相がπずれることから固定端反射の反射波の式を求める)の解答2

固定端反射では位相が π ずれる」ので、求めた波の式の角度部分に ±π します(プラスでもマイナスでも同じことです)。

すると sin に関する数学公式より、元の式にマイナスを付けた式に変換できます。

これが答えの反射波の式です。

この結果は固定端反射では変位が逆になる山が谷で、谷が山で返される)という事実と一致しています。

なお、自由端反射では位相のずれはありません

同位相と逆位相

さて、位相が付く用語として、同位相逆位相についても説明しておきます。

次の図をご覧ください。

同位相と逆位相:位相がπ、2πずれるとは?

位相は振動の段階のことでしたから、(1つの波の中で)振動の段階が同じ点同士を同位相振動の段階が逆の点同士を逆位相と言います。

名前のとおりですよね。

例えば「山と山」や「谷と谷」は代表的な同位相同士の点であり、「山と谷」は代表的な逆位相同士の点です。

sin の周期性を考えれば、位相が π の偶数倍すぐ隣なら 2πずれた点は同位相位相が π の奇数倍すぐ隣なら πずれた点は逆位相ということになります。

さらに言えば、半波長・半周期の偶数倍(すぐ隣なら1波長・1周期)ずれた点は同位相、半波長・半周期の奇数倍(すぐ隣なら半波長・半周期)ずれた点は逆位相となります。

(y-xグラフ、y-tグラフのそれぞれで、隣り合う山から谷まで半波長・半周期、山から山まで1波長・1周期であることを思い出してください。)

上の図では y=Asinθ の波のグラフを例にとり、隣り合う同位相同士、逆位相同士の点をいくつかピックアップしています。

同位相同士は振動の段階が同じであること、逆位相同士は振動の段階が逆であること、そして同位相同士の角度 θ の差は 2π、逆位相同士の角度 θ の差は π であることを確認してください。

※なお「ずれ」であることを強調する場合には、同位相同士は位相のずれなし(0)、逆位相同士は位相のずれ π と一律に言ってしまっても問題ありません。すぐ下のクイズの答えでも補足します。

文章が長くなり若干ややこしく感じてしまったかもしれません。

ですが位相が何かさえ分かっていれば、同位相と逆位相の意味や 2π や π ずれるといったことはある意味当たり前のことです。

試しに1つクイズです。

「ある正弦波で距離が 2λ 離れた2点の位相差はいくらで、同位相・逆位相のどちらでしょう?」

<クイズの答え>

1波長(λ)離れた2点は位相差 2π で同位相ですから、2λ 離れた2点は位相差 4π同位相となります。

イメージとしては山を考えると分かりやすいでしょう。

ある山から λ 離れたところは山であり、さらに λ 離れたところはやっぱり山です(つまり同位相ということですね)。

※なお、位相差は 4π と答えるのが模範解答ですが、0 と答えても OK です。円周上を角度 2π (の倍数)分進めば元の位置(角度 0)に戻りますから。

まとめ

最後に今回の話のおさらいです。

もう「位相とは何か?」と聞かれても大丈夫ですよね。

一応単語カードにもまとめておきます。

これさえ分かっていれば、位相差・位相のずれ、同位相・逆位相はすんなり理解できるので覚えるまでもありません。

位相の要点まとめ(1)

位相の要点まとめ(2)

ということで今回は波の位相をズバリ解説しました。

少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!