波のグラフが絶対分かる話:y-xグラフとy-tグラフ、そして裏ワザ y-x-tグラフ

難易度:★★☆☆
頻出度:★★★★

今回は物理の波動分野から、波のグラフを取り上げます。

波のグラフは波動分野の基礎中の基礎ですが、ここが正しく理解できないと波動分野全体に苦手意識を感じ、終いには嫌いになってしまいかねません。

本記事では波の基本的な2種類のグラフ、「y-xグラフ」と「y-tグラフ」のそれぞれの意味や読み取り方を詳しく解説します。

そして頻出の描き替え問題にも対応できるよう、裏ワザの「y-x-tグラフ」も紹介します。

少し長い記事ですが、是非最後まで読んでいただき、波が嫌いな人は苦手意識を払拭し、得意な人はさらに好きになっていただきたいと思います。

最後の問題演習を先に解くのもアリですよ!

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波のグラフを見たらまず確認すべきこと

まずはじめに、何よりも重要なことをお話させてください。

前述のように基本的な波のグラフには「y-xグラフ」と「y-tグラフ」の2種類があります。

なので波のグラフを見たらまず「横軸が何なのか」つまり「x なのか t なのか」を必ず確認してください。

どちらのグラフか確認した上で、以下に示すそれぞれのグラフの知識を活用していくことになります。

y-xグラフは波の波形(写真)を表す

はじめに「y-xグラフ」について説明します。

y-xグラフ」は波の波形を表すグラフです。

が、波形といってもちょっとピンとこないかもしれません。

では海の波を想像してみてください。

海の波を横から見て写真を撮ったとしましょう。

実はこの波の写真が「y-xグラフ」そのものなのです。

y-xグラフのイメージ図

さて、写真は時間を切り取るもの。

つまり時刻が固定されます。

それと同じで、y-xグラフは時刻 t 固定の下で描かれたグラフです。

なので、y-xグラフを見たら「いつの時刻の写真なのかな」と必ず考えるようにしましょう。

y-xグラフからは波長を読み取る

それでは実際の「y-xグラフ」を見てみましょう。

y-xグラフから読み取れること

一般に「y-xグラフ」からは、振幅 A と波長 λ が読み取れます

波の写真を見れば、波の縦の長さ(振幅)、波の横の長さ(波長)が分かりますよね。

しかし、周期 T は「y-xグラフ」からは読み取れないので注意です。

y-xグラフは時間が経過すると進められる

そして「y-xグラフ」は時間が経過すると、波の伝わる向きに進めることができます平行移動できます

「y-xグラフ」は波の写真なので、時間をずらして撮れば、移動した後の波の写真が撮れますよね。

y-xグラフは時間経過で進められるを説明した図

<メモ>
「y-xグラフ」から「y-tグラフ」に描き換える方法として、この「少しずらす」操作が有名ですが、私はあまりオススメしません。
後述の「y-x-tグラフ」を用いるやり方の方が、より視覚的かつ本質的で、一度習熟してしまえばミスも少ないと思います。

y-tグラフは媒質の振動を表す

次に「y-t グラフ」について説明します。

y-tグラフ」はある位置での媒質の動き(単振動)を表すグラフです。

先ほどと同様に海の波を例にすると、ある水面をじっと見つめてその動きを観測し、横軸 t でグラフ化したものが「y-tグラフ」です。

ある位置をじっと観測するので、こちらは位置 x が固定されます。

よって「y-tグラフ」を見たら「どこの位置のグラフかな」と必ず考えるようにしましょう。

y-tグラフのイメージ図

上図の例では、注目している媒質は t = 0 から時間が経過して波が伝わってくると、下がって上がりますよね。

(y-xグラフは時間経過で平行移動できるのでした。)

なので「y-tグラフ」は吹き出し内のように描けます。

y-tグラフからは周期を読み取る

それでは実際の「y-tグラフ」を見てみましょう。

y-tグラフから読み取れること

一般に「y-tグラフ」からは、振幅 A と周期 T が読み取れます

媒質の動きを観測して、一往復(一回単振動)する様子を見ていれば、媒質の振れ幅(振幅)、一往復するまでの時間(周期)が分かりますよね。

しかし、波長 λ は「y-tグラフ」からは読み取れないので注意です。

y-tグラフは時間が経過しても進められない

「y-xグラフ」は時間経過で、波の伝わる向きに進めることができました。

しかし、「y-tグラフ」は時間経過しても進められません平行移動できません)。

何故なら、「y-tグラフ」は媒質の動きを時間に沿って観測しているので、時間が経過したら、グラフの時間経過後の時刻の点を見ることになるからです。

次の図で確認してください。

ここはつまずきやすいところなので、きちんと納得しておきましょう。

y-tグラフは時間経過で進められないを説明した図

y-x-tグラフは y-x と y-t の間の変換に便利!

ここまで「y-xグラフ」と「y-tグラフ」、それぞれの特徴を紹介してきました。

では、両者の関係はどうなっているのでしょうか。

それを理解するのに最適な3つ目のグラフがあります。

y-x-tグラフ」です。

「y-x-tグラフ」は次のように立体的なグラフで、ある時刻の波の写真である「y-xグラフ」に、その中のある位置の媒質の振動グラフ「y-tグラフ」を組み合わせたものです。

y-x-tグラフの例(y-xグラフの「これからくる部分」を折り返すとy-tグラフになる)

上図で、t = 0 の「y-xグラフ」から、例えば x = λ/2 の位置における「y-tグラフ」を作成する方法を説明します。

y-xグラフの「これからくる部分」を折り返すとy-tグラフ

上図の t = 0 の「y-xグラフ」中で、 x = λ/2 の位置を観測している人の気持ちになって考えてみましょう。

波の伝わる向きは x軸正方向なので、この人から見れば x = λ/2 より左側にある波がこれからやってくる(平行移動してくる)ことになります。

なのでこの x = λ/2 より左側の領域を、(この人から見て)「これからくる部分」と呼びましょう。

この「これからくる部分」の波がやってくると、x = λ/2 の位置の媒質は、y = 0 から上がって(y = A まで)、下がって(y = 0 まで)、さらに下がって(y = -A まで)、また上がって(y = 0 まで)、、、と変位しますよね。

この動きを横軸 t にして描けば、それが x = λ/2 の「y-tグラフ」となります。

もっと簡単に図的に考えてみましょう。

ある位置の媒質がこれからどのように変位していくかは、その位置から見た「これからくる部分」の波を見れば分かるのでした。

ということは、図中に書いたとおり、「y-xグラフ」のある位置から見た「これからくる部分」の波を手前に折り返して横軸を t とすれば、それはそのまま、その位置の「y-tグラフ」になります

※逆に言えば、「y-tグラフ」を折り返せば、「これからくる部分」の「y-xグラフ」が描けます。

このように、「y-x-tグラフ」を用いれば「y-xグラフ」と「y-tグラフ」との間の変換が簡単に行えます。

言葉では少し分かりづらいかもしれませんので、本記事の下部の例題で復習&演習してみましょう。

波の伝わる向きにはいつも注意しよう

ここで注意点ですが、波の伝わる向きによって、「これからくる部分」が変わるので注意しましょう。

例えば上図では、波の伝わる向きが x軸負方向だった場合、x = λ/2 から見た「これからくる部分」は、x = λ/2 の右側になります。

そうすると、折り返す部分が反対になり、「y-tグラフ」も変わってきます。

ということで波の伝わる向きにはいつも注意を払っておきましょう!

波のグラフのまとめ

ここまでお疲れさまでした。

ここでいったん、今回のテーマのまとめをカードに書いておきますので、適宜ご活用ください。

波のグラフのまとめ(y-xグラフとy-tグラフ)(1)

波のグラフのまとめ(y-xグラフとy-tグラフ)(2)

問題に挑戦!

では、実際に問題を解いて、ここまでの内容を復習しましょう。

特に「y-x-tグラフ」を自由自在に使えるようになると、百人力ですよ!

はじめに「y-xグラフ」から「y-tグラフ」を描く例題です。

y-xグラフからy-tグラフを描く例題

なかなか複雑な設定ですが、「y-x-tグラフ」で考えれば簡単に解けちゃいます。

<解答>

y-xグラフからy-tグラフを描く例題の解説(やや難)

はじめに x = λ/4 の位置に新たな y 軸と(手前向きに)t 軸を設置して、「これからくる部分」を折り返します。

本問では x軸負方向に波が伝わるので、x = λ/4 の右側が「これからくる部分」になることに注意です。

折り返しですぐに「y-tグラフ」ができますが、元の「y-xグラフ」が t = T/2 のグラフでしたので、折り返してできたグラフの起点が t = T/2 となります。

なので、t = 0 から t = T/2 の部分のグラフも付け加えて答えとなります。

続いて、逆に「y-tグラフ」から「y-xグラフ」を描く問題を解いてみましょう。

y-tグラフからy-xグラフを描く例題

これも「y-x-tグラフ」をささっと描けば解けてしまいます。

今回は「y-tグラフ」が先に分かっているので、ここまでの例とは逆に折り返して「y-xグラフ」をつくります。

<解答>

y-tグラフからy-xグラフを描く例題の解説(逆に折り返す)

はじめに x = 0 の位置に t 軸を設置して、与えられた「y-tグラフ」を描き、それを「これからくる部分」に折り返します。

本問では x軸正方向に波が伝わるので、x = 0 の左側が「これからくる部分」になることに注意です。

折り返しですぐに「y-xグラフ」ができますが、x = 0 から x = λ まで延長させて、その部分を答えとしましょう。

いかがだったでしょうか。

「y-xグラフ」及び「y-tグラフ」の基礎が固められたでしょうか?

両者を繋ぐ「y-x-tグラフ」は慣れれば強力な武器になりますので、是非活用してみてください。

いつも最後までお読みいただきありがとうございます!