黄リンと赤リンの構造・性質の違い(黄は危険で赤は安全)

難易度:★☆☆☆
頻出度:★☆☆☆

今回は化学の無機分野から黄リン赤リンについて解説します。

これらはリンの同素体(性質が異なる同一元素の単体同士)ですが、性質がかなり異なります。

構造や反応性がどのように違うのか、しっかり押さえておきましょう。

復習問題もありますので、ぜひ最後までお付き合いください。

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黄リン P4(←4は下付き文字です)

まずは黄リン(おうりん)から説明します。

(本当の読み方を知った上で「きりん」と読むのはOKです!)

黄リンはヤバい方のリンの同素体です。

構造

黄リンは4つのリン原子から成る正四面体形の分子です。

次の図のように4つのリン原子が正四面体の各頂点に位置しています。

黄リンの構造(正四面体形)

正四面体形は安定していそうに見えますが、実はその逆です。

無理な角度で結びついているためリン原子同士の結合は切れやすく、次にお話しするような高い反応性の原因となっています。

性質

黄リンはその名の通り淡黄色の固体で、非常に有毒です(致死量はたったの 0.1 g!)。

しかも空気中で自然発火することもある(発火点は約34℃)ため、その辺のビンに入れて保管、というわけにはいきません。

水にほとんど溶けないため、水中で保存します。

一方で無機物質の溶媒として有名な二硫化炭素には可溶です。

黄リンを空気を断って加熱するとゆっくりと赤リンになります

赤リン P

お次は赤リン(せきりん)についてです。

後述しますが、こちらの方が私たちに馴染み深いリンの同素体でしょう。

黄リンと違い、おとなしいのが特徴です。

構造

赤リンは多数のリン原子から成る無定形、つまり決まった形を持たない分子です。

正四面体形の黄リンを空気を断って加熱すると、結合がバラバラになった後、無作為にくっついて赤リンができるイメージです。

性質

赤リンは赤褐色の固体で、黄リンとは異なり無毒です。

反応性が低く、空気中でも安定です。

また、黄リン同様水に不溶ですが、黄リンと異なり二硫化炭素にも不溶です。

そして摩擦熱で発火するので、マッチ箱の側面(側薬と言います)に用いられていることで有名です。

<メモ>
マッチ棒の先端(頭薬と言います)が赤いので、あれが赤リンだと誤解されがちですが、あれは別物です。
成分としては塩素酸カリウムや硫黄などが含まれています。

リンの燃焼反応(共通)

黄リン、赤リンともに、空気中で燃焼させると十酸化四リン(じっさんかしりん)となります。

(反応式は4つのリンに5つの酸素で1つの十酸化四リン、とシンプルなので覚えるまでもありません。)

十酸化四リンは酸性の乾燥剤として有名です。

十酸化四リンも含め、入試に出る乾燥剤については次の記事で解説していますので、お時間があるときに是非ご確認ください。

まとめ

説明が一段落したところで、ここまでの内容をまとめておきます。

信号なら赤の方が危険ですが、リンでは黄の方が危険です。

最低限、次の単語カードにまとめたことは押さえておきましょう。

黄リンと赤リンのまとめ(1)

黄リンと赤リンのまとめ(2)

これらはあくまで知識なので、覚えれば終わり!、逆に単純です。

無機は知識量が直接得点に結びつきます。

楽しみながら暗記しちゃいましょう!

【豆知識】リンの漢字「燐」の由来

ここでちょっと休憩して豆知識を一つ。

リンは漢字で「」と書きますが、この漢字の由来をご存じでしょうか。

この漢字は墓地などで見られる(?)ゆらゆらした青白い光、いわゆる鬼火を表したものなんです。

湿った空気中での黄リンの自然発光(燐光(りんこう)と言います)がこの鬼火と似ているため、リンに「燐」の字があてられたのではないでしょうか。

問題に挑戦!

最後に黄リンと赤リンの知識を復習できる確認問題を用意してみました。

一問一答の簡単なクイズなので気楽に挑戦してみてください。

問題

リンの同素体に関する次の各問に答えよ。
1.黄リンの保存方法を答えよ。
2.黄リンからの赤リンの製法を答えよ。
3.リンを空気中で燃焼させると生じる物質は何か。

<解答>

1. 水中で保存

黄リンは空気中で自然発火する危険性があるため水中で保存するのでした。

2. 空気を断って(ゆっくり)加熱

空気を断つ、というところがポイントです。

3. 十酸化四リン

読み方、そして乾燥剤として使われることも併せて覚えておきましょう。

無事全問正解できたでしょうか。

今回は以上となります。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!